連理の枝
呉の男というものは、やけに暑苦しい。傍にいるだけでうんざりするほどだ、と乙女は思う。ただ周泰という男だけは違った。初めて会った時はその体躯と威圧感に圧倒されていたのだが、口下手なだけでいい人だと気づくのにそう時間はかからなかった。

「あ、周泰さん」

ひらひらと手を振ると、周泰も手を挙げて乙女の近くにやってくる。そのまま隣に腰掛けると、ぴったりと寄り添った。服という布を隔てているとはいえ、直に伝わる熱に、乙女はどきどきする。急にどうしちゃったんだろう。座っていても見上げなければ彼の顔は見えない。相変わらずの仏頂面だが、なぜだか緩く微笑んでいるようにも見えた。

「お前がいないと……すぐに、不安になる……」

多くを話すことは少ないが、その分ストレートに伝える彼に、いつも乙女は振り回される。だがその言葉一つ一つがかけがいのない宝物となって、乙女の内に刻まれるのだ。

「……私も同じですよ。周泰さん」

腰に手が触れる。乙女はより周泰の近くに引っ張られる形となった。

こんなに甘えたがりだったかな、と乙女は思ったのだが。

どうやら最近の周泰は、乙女の思っている以上に彼女にご執心らしい。彼女の姿がいないとは分かるとすぐに「乙女は……どこですか」と孫権に詰め寄っているとかなんとか。

そう見えないというだけで、結局彼も暑苦しい男なのではないか。そう感じないでもなかったが、周泰が暑苦しくても嫌悪感はなかった。なんでだろうと考えたが、彼のことが好きだからという理由しか見当たらなかった。

(20240805)
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