陛下がデートに誘う場合

月曜日。憂鬱だ。ここから平日5日分お仕事を頑張らなきゃならない。まだ月曜日だけど、早く土日にならないかなと気だるそうにカレンダーを見る。…まぁ、土日に何か楽しいことがあるわけでもないけれど。

がんばるかぁ、と車を地下の駐車場に止めて降りる。今日やるべき仕事はなんだったかなと、頭の中で考えていると、おい、と呼び止められた。
振り向くと、柱に背中を預けて立っているノクトがいた。

「ノクト?どうしたの?」
「はよ。」
「あ、おはよう。」

ぶっきらぼうな挨拶。自分から話しかけておいて、目が合えば逸らされた。なんなのよー、と少し傷つきながらも挨拶を返す。
ノクトはポケットに手を突っ込みながら、私の前に歩いてくる。私の前で止まると、やっと目を合わせた。

「お前、この土日になんか予定あるか?」
「いや、とくにないけど。」
「なら、あけとけ。」
「へ?」
「これ。」
「え?…あ、これって!あの監督の最新映画!?」

ポケットから差し出されたものは、映画のチケット。それは私がすごく見たかったもので、テレビで予告が流れる度に画面に張り付いて見ていたものだった。

チケットは2枚ある。…これって、つまり、観に行こうってこと?
期待を込めてチケットからノクトに目を移すと、ノクトは頭を掻きながら目をそらした。

「た、たまたまだからなっ。…その、何となく映画が観たくなって、チケットを取ったっていうか…ほら、1人だとつまんねーし。お前、観たがってたし。」
「ノクト…。」
「とりあえず!土日のどっちか忘れずにあけとけよ。」

不器用というか、なんというか……でもこれが彼の精一杯なんだと思うと可愛いと思う。私はうなづいて、一枚チケットをもらった。

「時間とかは、…その、後で電話する。」

ノクトはチラチラと私を見るばかりで、ちゃんと目を向けてはくれなかった。それでも、今日は月曜日で気が重かったけれど、楽しい土日が待っていると思うと力が湧いてきた。

「ありがとう、ノクト!行こうね!」
「お、おうっ。」


end

不器用な誘い方

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後でプロンプトに、ちゃんと誘えたのー?って、確認されそう。

ちゃんと誘ったし!
やったな、ノクト。
がっかりされねぇと、いいがな。
余計なお世話だし。

って言い合ってほしい。

でも内心嬉しくて、自室に入って1人になったら、よっしゃ!!ってガッツポーズ決めてそう。


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