江戸、吉原────
そして夜
それは最も私達が活躍する時刻。
といってもまだ私は姐さん達のお手伝い止まりにすぎないが、最近では徐々に昇格しつつある。姐さん達の持ち場であるお座敷にちょっとずつ顔を出すことを許された。
『遊女』と聞くと『男ならだれでも夜のお相手をする女』っていう印象が強いが実際には私みたいな未経験のお手伝い止まりもいるのだ。
私が勤めるこの『凪渠屋(ながれや)』は巷でも結構人気がある店である。そりゃあんな綺麗な姐さん達がいるのだから当たり前だろう。
今日もいつもとかわらない仕事をしていつもとかわらない時間を過ごす。たまに退屈になるときもあるけどそんな暇があるなら働けと言われ続けた。まぁ間違ってはいない意見だろうな。
午前0時
私の仕事は終わり、自室で眠りについた。
まさか、次に目が覚めるとき。
私の人生が大きく変わるなんて思ってもなくて、ただただ眠りについた……