
あすにはわすれるおはなしのひとつ(5)
『珍しいじゃないかラチェット。君が笑い転げるなんて』
『オプティマス…思い出してしまうから、そっとしておいてくれないかっ…!』
『…〜っ!』
『よっぽどその口が要らないとみた』
『落ち着け、アイアンハイド』
オプティマスとメガトロンは政務室で4人と向かい合っていた。
笑っているジャズとラチェットに何故か憤慨しているアイアンハイド。そしてその間に居心地悪そうに縮こまっている幸縁と。
『何をそんなに騒いでいた。リペアルームまで吹き飛ばすまで』
『『…ブハッ!』』
『何が可笑しい』
ますます荒く排気し憤慨するアイアンハイド。その様子を見てさらに縮こまってしまった幸縁。
オプティマスはそれを見て、静かに幸縁に話しかけた。
『どうしたんだシエン』
「…あのね、あの」
『ゆっくりでいい。落ち着いてから話してくれ』
「うん」
深呼吸して、幸縁は話し出した。
「ラチェの部屋でジャズとお話してたら、訓練中の様子を映像で見せてくれてね。その映像の中に教官さんがいて、それがアイアンハイドさんだったの」
『ほぅ』
順序立てて話す幸縁に、相づちを打つオプティマス。話は続く。
『教官さん…アイアンハイドさんに誉められて、ジャズは嬉しかったって言って』
『…』
『それで?』
「でも、いつも怒られちゃうから…アイアンハイドさんともっと仲良くするにはどうすればいいかなって話になって」
『だぁーっ!シエンバラすなよ!』
『黙っていろ』
『いてっ!』
照れて叫ぶジャズがメガトロンに頭を殴られた。
『…で?』
「じゃじゅがわたしををぶんなげた」
『『ハァ!?』』
『なんでそこを省略すんだぁああ!!』
『シエン、ジャズで遊ぶんじゃない』
「てへぺろ」
『なんか腹立つ』
長く、でもあっという間の事情を説明し終える。
「つまり、二人とも仲良くしてほしいって言いたかったの」
『そうだったのか』
「だから親しみを込めて愛称を決めて呼んだんだけど…」
視線の先には居心地悪そうにするジャズとラチェット。そしてアイアンハイド。
「ごめんよ、アイアンハイドさん。私のせいで嫌な思いさせて」
『…』
「でも二人とも、アイアンハイドさんのことが好きだから、嫌にならないでね」
そう幸縁は言うと、出来損ないの顔で笑った。
『ハァ…仕方ない』
「!」
『アイアンハイド』
『こんな幼体に謝罪されて。それを蔑ろにするほど、俺は落ちぶれちゃいない』
『お前に免じて、二人を許す…シエン』
「!」
アイアンハイドがシエンを持ち上げ名を呼べば。
彼女はその手の中で、心底嬉しそうに笑うのだった。