シュガー・ホーム(3)



鼓膜を揺らした声で目を覚ますと男のドアップ。

「…ギャァアアアイケメンンンッ!!」
「…っ!?」

ゴチン!バチーン!!

「──ごめんなさいスタースクリーム!」
「…」

お互い正座で向き合っているが幸縁は顔を上げられない。

「…」
「あの、暗くて誰だか見えなくて…寝起きだったけどごめんなさ」
「鍵が閉まっていなかった」
「え?」
「気をつけろ」
「は、はい…」
「…」
「…」

(気まずっ!!そりゃ顔面ぶっ叩いた上に頭突きまでしちゃったらこうなるよ!スタースクリームは昔から気位が高いからこんな虫けらに叩かれて屈辱だよねあああごめんよスタースクリーム!)

脳内で幸縁が身悶えながらどうやって謝ろうか悩んでいると。

「無事ならかまわない。帰る」
「えっ…もう?」

キビキビ、コツコツ。そんな擬音だけを部屋に残して、スタースクリームは家から出ていった。







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(スタースクリーム視点)


苛立ちながら、俺は歩いていた。
任務はメガトロンの命令でデスクワークが主になり、今日も人間とオートボットと肩を並べて働いていたが。
単調な仕事に一区切りついたところでヒューマンモード用の支給された携帯端末が反応した。

《幸縁か》
《オウ、スタースクリーム!》
《何故お前が出るフレンジー》

通話状態にすると幸縁の端末から非番の小さな同僚の声。

《イマシエンノウチニイルカラダ!》

いいだろーっ!と自慢気に話しているのに反応してヒューマンモードに関わらず電子音を鳴らしている奴らを無視して返事をする。

《それで、何の用だ》
《シゴトオワッテヨユウアルナラ、シエンガウチニコナイカダトヨッ!》

今すぐでも行ける。…行けたが。
俺の返事を待つかのように不満げに電子音を鳴らして書類の束を掲げるボッツ共。チッ副官め、更に枚数増やしやがった。

《まだ仕事が残っている》
《ソウカ…ムリソウカ?》

返事しようとして、コソコソとオートボットが動いているのが目に入る。

「必ず行く」
《ヨッシャッ!シエンー!スタスククルトヨ!》
『よっしゃぁぁあー!!』
『誰がスタスクだ!…じゃあな』
『オウッ!ジャアナッ!』

通話を終え、溜め息をつきデスクへ向かう。
書類の山が…多すぎて山と山が同化している。紙媒体は場所を取ってかなわん。
だが、意地でもアイツの元へ向かってやる。

「…始めるか」

と回想いう名の現実逃避を入れてみたが…ヤバい。もう何年も使ってないサブディヴィジョンも使ったから負担処理がうまくできずブレインサーキットが熱を持っちまったようだ。
そしてブーイングの嵐の中軍人から許可をもぎ取り、幸縁の家に来たのはいいが。

「何だこの汚さは…」

眩暈を起こしそうだ。
鍵は空いてるし部屋はディセプティコンと戦ったような荒れ方。
まぁ無様に壁に引っかかった垂れ幕の文字がなければ勘違いしたままだったろうがな。
俺はシエンが降りてきた時のために椅子に掛かっていたエプロンを着け、部屋の片づけを行った。
笑顔で俺を迎えてくれると思いながら。

しかし(寝起きに)叫ばれ殴られ、俺は今日ここに来るまでの疲れと不満、苛立ち怒りが吹き出すようにこみ上げて。
無意識にシエンに拳を向けようとしていた。
シエンは気づいていなかったが、右腕までトランスフォームしパーツが表皮より上に出て……。
アイツと距離を取ろうと思ったのだろう。俺はいつの間にか外にいた。

(スタースクリーム視点終了)
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幸縁はぼーっとスタースクリームが出ていった方向を見つめていたが、ハッと我に帰ると後を追った。
下に降りると寝る前の光景は無くきれいになったリビング。

「…ごめんなさい」

自分が呼んだくせに迷惑ばかりかけて。
そっと玄関を開けると彼が庭で屈んでいる姿が見え、静かに近づいた。

「スタースクリーム…」
「っ!?」

勢いよく振り向かれてビビるが、しっかり顔を見て伝えた。

「疲れてたのに、ごめんなさい。あとありがとう…大好きだよ!」

そしてもう一度、頭突きしてごめんなさいと頭を下げると凄い力で腕を引かれた。

「知っている…っ!」

耳元で吐き捨てられた言葉に安堵しながら、私達はしばらくの間そのままでいた。












おまけ↓
「ところで」
「うん?」
「これは、」
「ああ!ジャック・オ・メガトロンだよ!オプがくれた!」
「な!?ぶはっ…!」

終わり

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