Q.彼女はコタツで丸くなるか?(3)



「すげー!壁を途中まで走ったぞ!」
「イヤンしなやかっ!」
「ネコちゃん待ってぇぇええ!!」

野郎共の黄色い歓声をバックに、私はおそらく今日唯一一番安全な所であろう部屋へラストスパートをかけた。

「オプ!助けて!」
『シエン、どうしたんだ…?』

転がるように部屋に入ってきた私を、怪訝そうに見るオプティマス。いつもよりカシャカシャとまばたきが多い。

『どうしたんだ…その姿は?』
「実は昨日ラチェットがくれたお菓子に薬が入っているの知らなくて食べちゃってそしたら頭にネコミミ生えてビーちゃんいないしラチェットどっか行くし基地内変態カーニバルで」
『──事情は理解した。ラチェットには通信をしておこう。君が落ち着き、彼が来るまでここにいるといい』
「ほんと!?ありがとうオプ!」

(やっと休憩できる!)

脱力。
床に座り込むと、両脇に手を差し込まれオプティマスの鋼鉄の膝の上に乗せられた。

「オプ?」
『君らしい溌剌とした魅力的な部分と、猫科のしなやかな肉体の、野性的な躍動と…黒髪とほぼ変わりない色のその猫耳で皆の視線を一人占めしていたようだな。ここまで声が聞こえてきた』
「あれは恐怖体験だよ…というか、魅力的って…」
『私もそう感じる…君のその猫耳に触れてもかまわないだろうか?』
「っ…いいよ」

その低い声が耳に毒です司令官!なんて考えながら了承すると、フェザータッチで、というかほぼ掠るように触るオプティマス。力加減がわからないのだろう。
くすぐったくて、思わず頭や頬を彼の大きな手にこすりつけてしまう。

『!!』

ビクリと動きが止まり、頭から手が離れてしまった。



「オプ?」
『…すまない。痛くなかったか?』
「うん…オプ」
『どうした?』
「……にゃー」
『!!?』

ごろり。

膝の上でうずくまるように寝転がる私に、キュルッっと微かに電子音と駆動音を発したオプティマス。

『シエン…っ?』
「オプの手、安心するから。もっと撫でて?」
『…わかった』

ぎこちないけど優しい手つきで慈しむように撫でられて。走り疲れていた私はあっという間に眠りに就いたのだった。















A.コタツより膝の上の特等席


→あとがき
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