
Sea side(10)
[会場:控え室]
『出番は最後か』
「ひえぇぇ目立つよぉ…。あ、お腹痛い」
『気合いとノリだPer favore』
『景気づけにアルコール摂取しておくか?』
「いやいや!呂律回らなくなるから!」
『…"じゃじゅ"』
「!!」
『懐かしいな』
「消して!」
『?』
『後で副官から聞け』
『あぁ…?』
そんなこんなで出番が来た。
マネージャーや恋人が付き添い人でステージに上がるようで、中央に向かって歩いていくのだが…
「歩けん!」
『何だと!』
高いヒールのサンダルのせいでバランスが取れない幸縁。
後ろ姿は老婆か生まれたての小鹿。
「こんなの履いて歩いたことないもん!」
『おい呼ばれるぞ!』
「うわぁぁぁぁあ!」
結局…
《最後は…エントリーNo.20!シエンーー!》
『大丈夫か?』
『つまづくなよ』
ディーノとスタースクリームに手を引かれ登場。
『『『『『シエンー!!』』』』』
声援を送ってくれるみんなに手を振ろうとすると、ディーノと手を繋いでいたため、二人で腕を動かす羽目に。
『「あ」』
周りから微笑ましいと笑いと拍手が。
恥ずかしいのと照れくささで下を向こうとすると、スタースクリームに頭を撫でられ二、三度軽く叩かれる。
『俺達だけ見ていれば大丈夫だ』
「うんっ…!」
中央に着くと手を離される。後ろで待機するのに下がる二人。緊張してきたので胸に手を当て深呼吸していると、ショックウェーブと目が合う。
『…』
「…」
無言で親指を立てられた。
手を振ると満足げにしたので良しとしよう。
質問は特に当たり障りの無いものばかり。終始落ち着いた雰囲気で進んでいたが。
《では最後に!くじ引きで出たお題をこなしまShow!》と、企画で引いたくじの内容が【ダンス】
「…!(踊ったことねぇよぉお゛!つかヒールだよ!)」
離れている二人は踊れるのか?
そう思い書いてある内容を見せると、二人して顔を見合わせている。
「ダメか…」
音源も無いし、と司会に無理だと告げようとすると。
『お、間に合ったな!シエンー!』
と犯人探しに出ていたジャズが戻ってきた。
(ナイスタイミング!)
「ジャズ!音楽っ![Dead run Ver!!]」
『!?…!おうっ!』
幸縁の携帯音楽プレーヤーを機械に繋げ、曲を再生するジャズ。
急いで二人を手招きする。
『どうするんだ?』
『踊れないぞ俺達』
困惑する二人に急いで説明する。
「簡単だから!曲に合わせて組み手するだけ!」
『踊るより組み手の方が楽そうだ…』
『あれか!』
「うん。途中でジャズとメガさんに入ってもらうから。タイミング見て片方入れ代わるって伝えて!」
『分かった』
「じゃあ星にぃに1人からスタート。」
『あぁ』
観客に向かって礼をし、手を握りピアノの前奏に合わせてゆっくり体を横に揺らすスタースクリームと幸縁。
「次の小節で…1、2、3!」
激しくなるピアノの演奏。ダンスは始まった。
手を離し、逃げる素振りをする幸縁を追うスタースクリーム。
捕まりそうになるのをかわして払いのける。
右、左、ターン。
ステップや方向を変えて繰り返し。そしてギターソロでディーノが影からステージに上がり、幸縁を追う。
幸縁は後退りの際転びそうになってしまう。
『『!』』
「…!(ヤバっ!)」
そこでリズムに合わせたジャズが抱きしめて支え、演技でサンダルを脱がす。
「ありがとっ」
ジャズが頷き、幸縁が立ち上がるとまたギターソロ。
メガトロンが奥から悠然と歩いてきて、幸縁をジャズから奪い間合いを取る。
『"かかってこい"』
幸縁を後ろに隠し、通信と口から発した声を合図にジャズ、ディーノ、スタースクリームの1対3の組み手が始まる。
そしてラスト。
三人をいなし、気絶したフリをする彼らをまたぎこちらに来るメガトロン。
床に座り込んだ幸縁に手を差し出し、幸縁がそれを掴み立ち上がったところで曲はフェードアウトし終了。
ダンスどころか何かのお芝居になってしまったが、これで幸縁の出番は終わった。
(予定狂ったけど、アドリブでなんとかなった…)
全員起き、幸縁が手を握ったまま観客に礼をすると、割れんばかりの拍手が。
《シエンさんありがとう!以上で発表終了!審査員の判定は?》
「へ?」
《優勝は…エントリーNo.20!シエンだー!!》
表彰後、あっという間にマスコミに囲まれた幸縁。
勢いで軍やトランスフォーマーについて聞かれる。
「ダンスはぶっつけ本番で…。それでもうまくいったのは彼らのおかげです。トランスフォーマーのことは詳しくはわかりませんが、私が彼らと親しくなれたように、"彼等"とも親しくなれたらいいですね」
→おまけ