白路を行く(3)




「お…サウンドウェーブのヤツが呼んでるから帰るか」
「えっ?フレンジー帰るの?」
「あぁ、バリケードが迎えに来るし…機嫌直しとかねえと。暇潰しに付き合ってくれてアリガトヨ」
「ううん。じゃあまたね。にぃにによろしく」
「オウ(`∇´ゞ」

千鳥足でフレンジーが出て行くと、すぐさま車のエンジン音が聞こえ遠ざかっていった。
部屋は静かだ。

「…スコちゃんは寝ちゃったし」
「……」
「ブラックアウトは酔いつぶれたし」

みんな疲れが溜まっていたらしく、スコルポノックはケーキを食べた後、ブラックアウトは全員でケーキを食べた後に飲んだお酒でうつらうつらとして寝てしまった。
幸縁は片づけをしようと立ち上がるが、片手をスコルポノックに掴まれ動けない。

「よしよし…」

静かな寝息と寝顔に癒されながら持ち上げベッドに寝かせる。

「スコちゃ〜ん、今ブラックアウト連れて来るから寝ててね〜」
「スコも、行く…」
「あらら」

もう一度スコルポノックを抱き上げ、そしてブラックアウトを起こしに行く。

「ブラックアウトー…」
「…」
「黒兄ぃに〜、ブラックアウト〜…」
「ますたぁー」
「…」
「疲れてるみたい」
「マスター、どうしよう?」
「う〜ん…」

流石にヒューマンモードでも、体格の良い寝ている成人男性のことを持ち上げるのは難しい。
考えた末の結論は。

「3人で寝ようか?」
「…!」

嬉しそうに頷くスコルポノックの頭を撫で、幸縁は二人で毛布を運んだ。そしてリクライニングソファで3人、川の字で眠りに就いたのだった。





「…」

朝、スリープモードから目覚めたブラックアウトは、目の前にある顔に驚いた。

「すぅ…すぅー…」
「シエン?」

返事はない。
だが自分の手に絡んだシエンの指に、力が入るのが分かった。
自分達が力を振るえば散る儚い命。矮小だと嘲っていた存在から伝わる温もりに心地よさを感じる自分に苦笑する。

「マスター」
「スコルポノック…ありがとうな」
「!」

(自分のドローンに気を遣われるとはな)

疲労が溜まっていたことに気づいたのだろう。
労り、撫でてやる。

「行くぞスコルポノック。閣下がお呼びだ」
「了解」

名残惜しく感じながらもシエンに書き置きを残し、二人は静かに白路へと足を踏み出す。
寒さはもう、胸に沁みなかった。

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