拙く進む

警官から渡された資料にあった超人保護法やらなんやら。
よく分からなかったので簡単にいうと、正義超人として活動していると、生活するための家とか補助金とか一部支給されるらしい。でもそれだけじゃ生活していけないから、起業したりアルバイトや副業をする超人がほとんどだそうだ。

(カレークックやティーパックマンがそんな感じかな?)

お金の出どころが分かって一安心した沙希は、最低限必要な日用品を揃えようと思い、キン肉マンと商店街に買い物に来ていた。

「正義超人も色々大変なんですね」
「そうじゃのう」
「私もどっかでアルバイトしなきゃ」
「沙希さんはどんなアルバイトをしたことがあるんじゃ?」
「飲食店の厨房スタッフと、学校の給食を作るお仕事です」
「わぁ、すごい!ワシも沙希さんの作ったご飯食べてみたいのう!」
「これからお世話になるので、勿論いいですよ。でも作るの早くないし……あまり美味しくなかったらごめんなさい」
「いやいやきっと大丈夫じゃ!それに、遅くとも練習すれば徐々に早くなるさ」
「……私、キン肉マンさんみたいな友達欲しかったなぁ」
「え?」
「ウチは親が離婚して貧乏で…」

流れる雲を見つめながら話す沙希。

「借金もあったので、知り合いの手伝いとかしたりバイトしたりの毎日で。でも、働いても働いてもお金が貯まらなくて。友達と遊ぶ時間も作れず……数少ない友達とも、あまり会えずで……」
「沙希ちゃん…」
「でも、お母さんのご飯を食べてる時が一番幸せで。だから飲食店と学校の給食作りの仕事をしたんです。──側で応援してくれたの、キン肉マンさんが初めて」

いつの間にか先に歩く沙希が振り返り、微笑む。

「だから。もし、キン肉マンさんが辛いと思ったり困ったことがあったら言ってくださいね?ご飯作って一緒に頑張って考えますから」
「沙希ちゃぁん…!」
「ぐえっ?!ど、どうしたの゛?」
「ワシが、私が友達になるっ!いや、もう既に友達じゃ!だからそんな悲しそうに笑わんでくれ!」
「いや、申し出は嬉しいけど」
「沙希ちゃんこそ、泣いたっていいんじゃぞ」

ワシだっていい年こいてよく泣くから!と元気よく告げるキン肉マン。
その励まし方はどうなんだと思う沙希だったが、

「じゃあ、耐えられない!って思ったら。キン肉マンさんの胸をお借りしますね」
「どんとこい!」

彼の優しい言葉に甘えることにした。