爪先からハロウィンマーブル(1)

"今年のハロウィンが近づき、街はオレンジや紫色の装飾が…"

「ハロウィンかぁ…」

この世界にも自分がいた世界と同じ行事があることに、彼女が気づいて久しい。
しかし、もうはしゃぐ年齢でもないし自らには関係無い。

(そう思っていた時期もありました)

「頼む!今回のイベントに協力して欲しい!!」
「お手伝い、ということですか?」
「うむ」

顔の濃いイケメン・マッスルに距離を詰められ、沙希は息を一瞬止める。
他の人と比べて何故か彼女に対する待遇はいいが、万太郎への行いなどのせいで沙希は彼が若干苦手だった。

(ルパ●の銭形さんとかは好きなんだけどなあ)

1・2期生入れ替え戦の時、HFから医療スタッフとして派遣された際に出会った彼は、何かにつけ沙希に声をかけてくるのだ。

「今回超人レスリングファンとのふれあいを兼ねたハロウィンイベントを行うことになり、人手がいるのだ。超人委員会側でアルバイトも募集したんだが……」
「求人応募を見て来た人が、実は超人達を見たいだけだったとか?」
「…そうなんだ」

苦虫を噛み潰したような顔を見て沙希は勘づいた。
求人に対する応募は想像よりもはるかに多く集まったのだろうが、雇用するには至らない理由や能力のものが多かったらしい。

「このままではイベントに間に合わない。君はミーハーな求人者とは違うだろうし…どうか手を貸してもらえないだろうか?」
「う〜ん…」
「もちろん給料は出す!」
「いや、お金の心配ではなくて」
「え?」
「自分のスキルでできる仕事内容か不安で…」

業務内容を聞く前に判断するのは早計だと話す沙希に縋るように、イケメン・マッスルは仕事の種類を説明した。

彼女が選んだのは…


1.プロレスの試合が行われる会場のもぎり
※もぎり(捥り)とは、劇場・映画館・競技会場などの入場口や受付で、入場券の半券をもぎ取ること。
(p2〜p3)

2.ハロウィンイベントの菓子作成係
(p4〜p5)

3.仮装・コスプレ衣装のレンタル受付係
(p6〜p8)