プリンス再び

魚人達に牢へ入れられたゾロ、ウソップ、ブルック、あたしは下から海水が迫ってきたところをブルックの霊魂を出す新技のおかげで、パッパグを捕まえてゾロの刀を持ってきてもらうことができた。

「ぎゃー!もう一息にやってくれ!」
「早くしないと私海の藻屑です!」
「あたしももずく!」
「うるせェ!今そういうのいらねェよ!」
「おい、掴まっとけ」
「え?」

もう足の下まで海水が迫ってきて早くしろと騒いでると、冷静なゾロの声が耳に届いた。次の瞬間に頭の上を何かが過ぎたように風が起きる。上を向くとすっぱり天井がなくなっていた。それと同時に海水が流れ込んできて、更に柵ごと斬られたことで足元に迫っていた水の中へ引きずりこまれるように潜ることになった。

パニックになり手を必死に動かしていると誰かに抱え込まれた。強い流れに身を任せながら進むと、どうにか別の部屋へ流れ着いた。


「なかなかアグレッシブだったな」
「いやー死ぬかと思いましたよ!」
「なかなかラッキーだったね」
「そうだな。ゾロの無計画なアレはどうかと思うけどな」
「おい!」
「リリナちゃーん!」
「あっサンジくんの声だ!おーい!」

荒い呼吸を整えていると遠くからあたしの名前を呼んでいるサンジくんの声が聞こえた。こっちからも名前を呼ぶとすぐにサンジくんが現れた。
そしてあたしの今の体勢を捉えた途端、サンジくんは血相を変えてもの凄い速さで走ってきた。

「こんのクソマリモ!リリナちゃんを抱え込むたァどういう了見だ!」
「あーあーうっせェな。おめえが呼んだから本当に来たじゃねェか、黙らせろ」

睨みをきかせてゾロに飛び蹴りをかましたサンジくんを水を含んだ服を絞りながら、適当にあしらうゾロはあたしに文句を言ってサンジくんを手で払う。

「サンジくん来てくれたんだね!」
「モニターでリリナちゃんを見て心配で……。無事か?どこか怪我してないか?こんな野郎共と一緒にあんな牢に入れられるなんて災難だったな」

床に下されて服の水を絞った。傷を負ってないかと色んな角度から確認するサンジくんに笑いかけると、安心したように少し顔の表情が和らいだ。

「うん、でも大丈夫だったよ。ゾロのおかげ」
「ほー、マリモのくせによくやった」
「サンジくん来ないかなーって思ってたら本当に来てくれた!」
「ん?」
「アラバスタでも牢に入ってるときサンジくんが助けに来てくれたから、また来てくれないかなーって思ってた!」

目を瞬かせているサンジくんを見上げて言うと目に涙をためて、悲しいのか嬉しいのかよく分からない顔になった。

「リリナちゃん……」

うるうると目にたくさんの涙をためてあたしを見るサンジくん。魚人島に入るときバラバラになって逸れてしまったのに、元気そうで良かった。

そう思っていると突然強い力に体を抱きすくめられた。びっくりして事態を把握できるまで瞬きを何回か繰り返して、ようや状況の理解ができた。

「リリナちゃん無事で良かった」
「さ、サンジくんもね」

ゼロの距離をだんだんと実感してくると恥ずかしさが押し寄せてきて顔が熱くなってきたのが分かる。嬉しいような、早く離れたいような。腕ごと抱きしめられているから全く身動きがとれない。

「ヨホ。お熱いですね」
「どうやら気持ちは離れなかったようですね」

ニヤニヤ、といったように含んだ笑顔であたし達を見るブルックとウソップに、顔の温度があがった。
シャボンディでも自分が同じようなことをサンジくんにしたんだと思うと、それも今更ながら大胆なことをしたなと恥ずかしくなる。もう全て恥ずかしい。


捕まった組をサンジが迎えに行ったときのおまけ話。Mr.プリンスを思い出してもらいました。