暗い深海は相変わらず寒くて怖い。それでもサニー号のライトで3人を探しながら進んでいると1つの光が見えた。それにおびき寄せられたあたし達は巨大アンコウに食べられそうになった。逃げようとしたとき海坊主が現れてすぐ、不気味な歌に乗せてゴースト
「ぎゃああー!」
物陰に隠れるとサニー号を攻撃しようとしてきた海坊主をさっきのクラーケンが殴り飛ばしてくれた。
「おおーーい!お前らー!探したぞー!」
「んナミさーん!んロビンちゃーん!リリナちゃーーん!」
一緒に現れた3人は1つのシャボン玉の中に窮屈そうに3人で入って帰ってきた。
助けてくれたクラーケンを本当に手懐けたルフィはスルメと名前をつけていて、名前を呼ばれるたびにクラーケンはにっこり笑っている。
「どうしたの?リリナちゃん、そんな隅なんかで」
「……さっき幽霊船を見たの」
「そうか。もう大丈夫、君の騎士が帰ってきたよ」
優しい笑みを浮かべるサンジくんの手をとって立ち上がると少し流れていた涙を親指で拭ってくれた。
「ほんとに、クソ可愛いな」
「…………」
そんな笑顔で言われちゃうと何て言ったらいいのか分からなくて黙ってしまう。でもやっぱりサンジくんが側にいてくれると安心できる。それに可愛いって言われると照れるけどとても嬉しくて頬が緩む。
「サンジー!忘れないように、ほら!ちゃんとこれ見てリハビリするんだぞ!」
「ナミさんの写真!」
チョッパーが駆け寄ってきて何枚ものナミの写真を手渡され、さっきと同じ写真を繋げたタスキを肩に掛けられたサンジくんは一瞬で目をハートにして釘付けになった。
今まであたしと話してたのに。これでも自分なりに女というものを磨いてきた。それでも写真のナミにさえ勝てないなんてショックが大きい。
八つ当たり半分にサンジくんが持っている写真を奪い取ってグシャグシャに丸めて投げた。
すると目を丸くしていたサンジくんの顔がみるみるうちに緩み始めた。あたしは嫌なことをしたはずなのに、どうして笑顔になっていくんだろう。
「なんかおれ、クソ嬉しいかも」
「ナミが好きなサンジくんなんて嫌い!」
「すまなかった、もう見ないから」
ニヤついた顔で謝られても説得力なんてないのにサンジくんに謝られると許さないわけにいかない。
渋々だけど仲直りをしようと口を開こうとしたら急に低くて重いような音が響き始めて一瞬で空気が張り詰める。
「まずいわ。海底火山が……噴火する!」
クラーケン・スルメに逃げるように命令するより早く身の危険を感じたスルメは一目散に走り出した。その動きを見ていると今にも足が絡まりそうでヒヤヒヤする。だけど十分な距離を取ることが出来ないうちに火山は噴火してしまった。
真っ暗な海溝へ飛び込んだとき、火山が噴火した衝撃で岩が土石流となって一緒に転がり落ちてきた。巻き込まれそうになったところをウソップの新技でスルメに当たらずに助けられたと安心した直後、大きな岩がスルメの頭に直撃して呆気なく意識を失ってしまった。
暗い海溝を沈んでいくと光が射し始めた。その光はすぐに太陽と同じように上から辺りを照らすように明るくなり、周りが見渡せるようになった。
「光?なぜこんな深海に……」
「眩しい!目が眩むようです!……私、眩む目ないんですけどね!ヨホホホ!」
「おいあれ見てみろよ!」
「おいナミ!あれか!?」
「ええ、間違いないわ!指針はあの島を指してる!あれが魚人島!」
たくさんの困難の先に見えた魚人島にみんな笑顔で喜んだ。人魚達に会えるとブルックと喜んでるサンジくんがまた鼻血を出して倒れたから思わず笑顔が引きつる。
目の前に見えた魚人島にみんな浮かれているとサニー号を運んでくれていたスルメが上から乱暴に船を捨てるように投げた。
「何すんだスルメ!もう一息運んでくれよ!」
「誰だこいつら!」
「海賊船もいわば人間の敵……お前達には選択する権利がある!」
「こんなにたくさんどうしたの?」
何体もいる海獣のうちの一体に乗った人からあたし達に向かって話しかけているみたいだ。
「お前達、麦わらの一味だなァ。よく知ってるとも……かつてアーロン一味の野望を打ち砕いた海賊達。それで済めば答えは簡単だったが……よりによって2年前元アーロン一味の幹部ハチさんを庇い、あの憎き天竜人をぶちのめしたとも聞いている……!まるで我々の敬愛する魚人島の英雄フィッシャー・タイガーのように。なァ教えてくれ!お前達は敵なのか、味方なのか。我々新魚人海賊団の傘下に下るか!拒否するか!」
拒んだらここで沈めると聞いて自然と眉に力が入る。海中であるここでは魚人である向こうがずっと有利で、どうあがいても勝てない。さっきまでピンチから救ってくれたスルメも今は戦意を喪失してしまっている。魚人海賊団は昔からいろいろあったから関わると厄介になるとオヤジから教わってる。
「さァおれ達の手下になるか!?"麦わらのルフィ"!」
「いやだねーー!バーーカ!!」
「拒否……したな!?我々新魚人海賊団の勧誘を。ならばお前達は魚人の敵。ただの罪深き人間だ!」
「なんでお前らの手下になんなきゃいけねェんだよォ!」
舌を出して真正面から対立するルフィに魚人は睨む目をキツくした。命令を受けた海獣がサニー号に噛み付こうと牙を剥く。大きな口で噛み砕かれそうになる寸前で
衝撃に耐えるように近くの手すりに掴まると上から物凄い力で押し潰される。もがこうとしても強い力に負けて結局押し戻されてしまった。
けれど体が自由になったのはすぐだった。サニー号は
「シャボンは二重構造!普通の船ならこの空気の層で落下する!」
「もう一発激突するぞ!しがみつけ!」
叫び声の通りにもう一度手すりに掴まった。中へ突入するとすぐに海の水に飲み込まれ潮の流れにのまれて手すりから手が離れた。もがいても流れが強すぎて意味がない。
(どうにかしなきゃみんなと逸れちゃう……!)
そう思っていると手を強い力で掴まれてなにかとぶつかる感覚がした。誰かが助けてくれたんだと少し安心して早くどこかに辿り着けるようにと耐えているうちに意識を手放した。