01

☆必読&設定☆
未読の方はコチラ↑


ー今思い返せば、
オレがあいつのことを好きになったのは
初めて会ったあの時からだったと思うー



ーーーーーーーー
「ったく、ダンデのやつ、遅いな…
待ち合わせの時間なんて十に過ぎているってのに…」

また迷子か?
だから迎えに行くって言ったのに…
しかもスマホロトム繋がらねぇし…
このまま待ってても永遠に来ない気がするのは、オレさまだけじゃない気がする…

もういいや。ダンデは置いていこう。
遅刻するわ連絡とれないわ、あいつが悪い。

「よーし!今日もワイルドエリアで特訓だ!いくぞ、ナックラー!」
「クラッ!」

元気にナックルシティからワイルドエリアに向けて駆けだしたのはまだ幼い頃のキバナとナックラー。

怖いもの知らずで、天気予報もチェックするなんてこともしていなかった。
目に入るもの全てが新しく、刺激的で、毎日ワイルドエリアを駆けまわっていたのだ。

いつもなら友人であり、ライバルのダンデと一緒なのだが、ダンデは方向音痴で今日は待ち合わせ場所までたどり着かなかったらしい…



ゴロゴロゴロ…
ワイルドエリアに出て、数時間がたった頃、いきなり空が暗くなった。

「げっ、なんだ雨かよ…」
ザァァァァァァ
「やべっ、ナックラー、とりあえずテントを張るぞ」

突然の雷雨にキバナは相棒のナックラーと慌ててテントを張り、中に入った。
外は酷い嵐のようだ。テントの中にいても、吹き付ける風や雨の音に自然の驚異が分かる。
スマホロトムを呼び出し、ワイルドエリアの天気を確認すると、今日は午後から嵐の予報だったようだ。
通り過ぎるのを待つしかない。そう思って仰向けになったキバナの耳に、

ザバァァァァァン!!!

まるで大波が打ち付けるような音がした。

「なんだ!?」
雨の音を震わせるような水が打ち付ける音に慌てて身体を起こし、そっとテントの入り口を開けてみる。
だが、外は酷い嵐で何も見えない。10M先すら見えないような大雨なのだ。

ギャオォォォォ!!

どこからか、野生ポケモンの声が聞こえる。
なんだ、水ポケモンが雨で元気になっただけか。
驚いて損した…

そう思い、テントの入り口を閉めようとしたその時、
「!?」
一瞬だが、小さな人影が見えたような気がした。

思わず身を乗り出したが、
突風にあおられ慌ててテントの中に身を引っ込めた。

(こんな大嵐の中、人が出歩くなんてありえないだろ。
きっと気のせいだー)
そう言い聞かせながら、嵐が去るまで横になるキバナであった。







「んぁぁぁぁ〜、よく寝た…」
いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
その間に雨の音も大分小さくなっていた。

「ナックラー」

相棒を起こし、テントを出る。
これくらいの雨なら移動できるだろう。
テントを仕舞おうかと布に手をかけたその時、

ギャオォォォォ!

「!?この声、さっきの…!!」
ただ野生のポケモンが雨で喜んでいたんじゃなかったのか。

「行くぞ、ナックラー!!」
「クラッ」

ただならぬ雰囲気を感じとったキバナは
テントも放ったらかして、声の方に向かう。
ナックラーの素振りからすると、げきりんの湖から聞こえているらしい。
さっきの声からすると、強いポケモンが興奮しているような雰囲気だった。
げきりんの湖ほとりの草むらまで辿りついたキバナとナックラーはそっと息をひそめる。
二人で頷き合ったあと、バっと飛び出したキバナは息を飲んだ。



ザァァァァッ

と風に木々があおられ、
雨雲が空を流れる。

その間から澄み渡った青空とともに、眩しいほどの太陽が差し込んだ。

それはキラキラと草や木々の水滴を輝かせ、とても幻想的な空間へと変化させる。


そんな日差しに照らされていたのは、風に髪をなびかせながら、

マンタインの背に立ち、対面するギャラドスに手をやったまま、
ポカンとキバナの方を振り返る少女だった…

★ブラウザバック推奨
Top