▲おとなごっこ


どういうわけか最近幼馴染であり団員の中でも最年少の下っ端が女らしくなった。綺麗になったと言った方が正しい気がする。
男でもできたかと問えば眉間に皺を寄せられ、恋でもしたかと茶化せば不機嫌そうに中指を立てられた。
きっと何かあったはずなのに、気に入らない。俺に隠し事をするなんて。子供の頃から弱いアイツを手塩に掛けて大事に育ててやったのに。
裏切りにでもあったかのような錯覚に堪えきれず収集をかけたアジトでの定期連絡後、散り散りに別れていく仲間の中から彼女を捕まえると俺はそのまま空いている隣の部屋へと放り投げた。「ちょっと、何するんですか!」暴れるのは想定内。事前に準備していた縄で逃げられないように縛っていると、何人かは俺達に気付いて立ち止まりこちらを見るが「いつものじゃれ合いね放っておくよ」とフェイタンの一言にいくつかのため息が聞こえた。何だじゃれ合いって。とは思ったが今はそれどころではない。俺は仲間も生温い視線を遮るようにバタリとドアを閉めた。

「ほら話せ」
「は?」
「話すまで出さないからな」
「は?」

で、結局どこのどいつだ。と詰め寄るが彼女は終始困惑した表情を崩さず、あくまで団長の俺に向かって「は?」と首を傾げ続けたので5回目あたりで流石に頭を叩いた。

「何するんですか!」
「お前がいつまでも俺に隠すからだろ」
「だから何をだよ!」

その言葉にもう一度頭を叩く。
さすがに彼女もキレ始めており、まるで威嚇するかのように此方を見るので俺は仕方なく丁寧に「お前の男の話だよ」と促した。
しかしその途端彼女の顔が真っ赤になり気付けばぶちぶちと捕縛していた縄を馬鹿力で千切るとまるで地団駄のようにげしげしと切れ切れになった紐をこれでもかと足で踏みつけ始めた。ここで俺は漸くその赤い顔が羞恥ではなく怒りからだと気付くのだが、声を掛ける前に彼女が「あんたがいつまでも過保護の所為で恋なんてできねーよ!」と叫んであろうことか窓から出て行った。
しかしこの流れでこれまでの俺の悩みが虚無であったと確認できたわけだ。そうか、あいつ別に男ができたわけじゃないのか。


なら、いいか。


「団長さぁ…」「まだそんな事やってたのかお前たち」それは▲▲じゃなくて団長問題があるんじゃねーの?とこの一連の話を聞いた仲間は溜め息を吐くが、俺には皆目見当も付かなかった。

なんで俺?