「待って!!むちゃくちゃ綺麗なんですけど!!」
「当たり前やっし」
日も暮れ始めた海は、オレンジと碧色に塗れていてとても綺麗だった。
「内地にこんな所ないねぇやんや?」
「うん!こんなの初めて見たよ」
私沖縄に来れて本当によかった!と伝えると、凛くんはまた目を大きくして、ぽかんと私を見つめていた。
「…??凛くん??」
「あ、…わり、見惚れただけばぁよ」
「凛くんそういう冗談好きね?」
「……冗談とかじゃねえらんど」
「ね、泳ご!」
「当然、」
少しオーバーサイズな白無地のTシャツを脱ぎ捨てて海へ駆ける凛くんを真似して、Tシャツとショートパンツを脱ぎ捨てて追いかける。
「なまえ、じゅんに泳げる?」
「犬掻きだけできる」
「ちゅらかーぎーねー!」
「泳げないと思った?」
「んー、部長さんにそうあびてたみたいだったから」
「ああ…。あれは、周りの女の子の視線が痛くてさ…。冗談言うのはいいけど場所考えて欲しいわ」
「そーゆーことね。……まあ、冗談ではないだろうけどな」
うん、そういうこと。と返事した時に、凛くんも何かぶつぶつ言っているようだったけど聞き取れなかった。なに?と聞いても、教えてやんねー。とはぐらかされたのできっと聞かない方がいいんだろう。
「てか、なまえスタイルでーじいーね」
「ねえほんとそう言うの言われ慣れてないから恥ずかしいんだけど」
「あー?…んれー、わんも思ったことは伝える主義だからなぁ」
「もう、騙されそう!」
「あー??」
眉間に皺を寄せた凛くんは、私の腰を優しく掴むと、腕に力がこもり、気がつけば凛くんの胸の中にいた。
「凛…くん…!?」
「まじよ、俺」
左耳にざらりとした感触が触れて、あ、とつい声が漏れる。
「ね、…凛くんだめ、」
「ここ、すき?」
「ねっ、凛くんってば!…あ!ほらもうそろそろ集合時間だよ!」
まずいと気づいて凛くんを振り払おうとしたけど、力が強くて全く敵わない。
「…逃す訳ないやし」
「な、」
凛くんの唇が私のそれと一瞬だけ重なった。私は自分でもわかるほど赤くなっているはずだ。
「ふ、もしかして初めてってやつ?」
「ねえ、!」
周囲の海水を凛くんに浴びせると、嬉しそうに笑っていた。