『……んー』
ゆっくりと意識が浮上して、目を開けた。
傍で寝ているのはキュウコンとイーブイ。まだ眠っている二匹を起こさない様にそっと身を起こして────目を瞬かせた。
『………うん?』
枕元で丸くなるイーブイの傍に、ふかふかのクッションがある。
それの上に昨日まではなかった緩い三角形状の物体が鎮座していた。
たまごである。
目を擦ってみたが、消えない。
つまり、実在している。
『……うん?』
え、何でたまご?
「誕生日おめでとう、エピフィルム。そいつはオレさまからのプレゼント」
『たん…?えっ…あ、ほんとだ。ありがとうキバナ……えっ、プレゼント?プレゼントがたまご……?えっ、なんで………?』
「めっちゃ動揺してるじゃん?」
『そりゃそうなるよ…?』
やたら近くをスマホロトムが飛んでるなと思ったら、犯人はやっぱりこいつだった。
最初は季節外れのクリスマスを疑ったが、どうやら今日は僕の誕生日だったらしい。すっかり忘れていた。まぁ誕生日もクリスマスも似た様なものか。プレゼントあるし。
でもたまご?たまごくれんの?
地味に初めてのタイプのプレゼントに困惑する。
今までは洋服だったりアクセサリーだったりしたのだが、そろそろ手持ち増やせと?
「そっちがメインかな。そんでこれもプレゼント」
にぱっと笑ったキバナがたまごを抱えた僕の髪を纏めると、そのまま弄りだした。
あ、これはプレゼントが増えた感じか。何時ものアクセサリーに追加でポケモンのたまごが来た感じかな?
「よし、出来た。鏡見てみなよ」
『ありがと。わあ、可愛い』
キバナが持つ手鏡を覗き込む。
一纏めにした髪の傍で揺れているのは水色の藤だ。
垂れ下がる下方に向け水色から濃い青のグラデーションになっているそれはキラキラしていて可愛い。
クリアブルーがシャラシャラと揺れる様は涼やかで上品だ。これならちょっと綺麗めにしなきゃいけない時も着けていけるだろう。
『ありがとう。大事にする』
「おー」
『これ簪でしょ?ガラルじゃ手に入りにくいでしょうに何処で見付けたの?』
「カブさんの知り合いに簪職人が居るって聞いてたんだ。其処に頼んだ」
母はジョウト出身で、家では良く簪を使っていた。箸に似た木の棒でくるりと長い髪を纏めるのを見るのが好きで、それで僕も髪を伸ばしていたのだと思い出した。
母が簪を使うのを一緒にキバナも見ていたから、僕が簪を好きだと覚えていたのだろうか
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