たまごはトレーナーが連れて歩くと早く孵るらしい。なので仕事の間はリュックにたまごを入れて歩き回った。
たまごを降ろしている間はイーブイやゾロアークが傍で暖めていたし、サザンドラとキュウコンとモスノウも楽しそうにたまごに話し掛けていた。
バンギラスとジャラランガとアーマーガアは近付いては来ないものの、離れた場所から良くたまごを見ている。
ルカリオは毎朝の瞑想をたまごの傍でやる様になった。
こんな感じでウチの子達が新しい仲間の誕生を待っててくれるのは微笑ましい。
だが一匹、ん??となる子が居るのだ
『ゆっくりで良いけど、元気に生まれておいで』
「ふりゃ!!」
たまごを抱える僕を後ろから抱き締める、フライゴン。
……お判り頂けるだろうか、この子めちゃくちゃたまごが孵るのを楽しみにしている。
キバナのフライゴンはウチの子達と同じレベルで、いやそれ以上にベビーが生まれるのを待ち望んでいる様に見えるのだ。
その証拠に家に居る時は常にリュックを覗き込んでくるし、手が離せなくてイーブイ達に任せている時も彼はたまごの傍に居る。
はい、フライゴンはきっとこの子のお父さんですね。
『楽しみだね、フライゴン』
「ふりゃ!!ふりゃりゃ〜!!」
ふりゃふりゃ言いながら僕ごとたまごを優しく抱擁するのは毎日である。うん、可愛い。思えばフライゴンとはナックラー時代から考えても長い付き合いになる。
大体僕がロコンを貰った時と同じぐらいにキバナが親御さんから貰ったんだったか。
最早自分の手持ちにも似た気持ちである。家族っぽいというか。正直ちょっとした指示とか緊急時ならお互いのポケモンは言う事を聞く。
因みにキバナも僕の手持ちに対してそう思っていそうだし、なんならがっつり指示を出すらしいので問題ない。
実際ワイルドエリアでサザンドラが手持ちに混じってたりするらしいので。
まぁ、キバナだし良いかなと思っているが。
ただキバナに着いて行くという事は、フライゴン達に混じって経験値を獲得するという事だ。おまけに親が違うポケモンは、何故か通常より多めに経験値を貰える。
…サザンドラ、ウチのメンバー内で一番レベル高いな?
あんたもうキバナの手持ちになっちゃってない?大丈夫?…大丈夫、そっかぁ
「ふりゃっ、ふりゃ♪」
『ふふ、楽しみだね、お父さん?』
「ふりゃ!」
にっこにこなフライゴンの頬を撫でていれば、此方にスマホロトムを向けていたキバナがあちゃーと笑った
「うーん、やっぱ気付いちゃった?」
『こんだけテンション爆上がりならね』
「だよなぁ。一応フライゴンにも内緒とは言ってあったんだが……目の前でたまごを大事にされてたら、つい我慢出来なくなっちまったっぽい」
手招きに応じてフライゴンと共にキバナの許に行く。定位置であるキバナの足の間に腰を降ろすと、フライゴンはキバナの隣に座った。
長い手足が身体の前で交差して、檻に閉じ込められた気分だ。すっぽりと収まった僕の頭頂部に顎を乗せ、大きな手が優しくたまごを撫でた
「どんな子が生まれるかな」
『フライゴンに似てたらキバナみたいな笑い方する子になるね』
「オレの笑い方ってどんな?」
『基本ヌメラ。それかワンパチ』
「……そんな顔してる?」
『ん。ロトム、キバナの笑ってる写真出して』
「ロト!」
僕のロトムが表示した画像にキバナはへにゃりと相好を崩した
「えぇ…顔面溶けてんじゃん…」
『大丈夫、大概溶けてるから』
「それ大丈夫じゃないのでは?」
『良いんじゃない?別に僕の前でドラゴンストームキバナ様で居る必要ないんだし』
「そうだけどぉ…」
「ふりゃ!ふりゃあ!」
ニコニコなフライゴンの頬を緩く揉む様に撫でる。ああ、この可愛くて強い子の子供が僕の新しいパートナーになるのか。
『たまごありがとうね、フライゴン。この子が生まれたら、お世話手伝ってくれる?』
「ふりゃ!!」
任せろ!と言わんばかりの翼竜に思わず笑った。
「シャッターチャンスロト!」
ぱしゃり。
『………あ゙!!』
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