決してきのみを包ませる為に与えたんじゃないのだが
『あの子、ボールのロックも自分で外しちゃうんだよね…』
「あー、アイツ前からそうやってきのみ採りに行ってたもんなぁ。ジムチャレの頃より上達したか?」
『ん。最近じゃ腰に着けてても勝手に出てくる』
モンスターボールは外側ロック構造である。一度目の解除で外側からのロックを外し、ポケモンがボールから出るというものだ。
基本はトレーナーがポケモンの出し入れを判断するので、内側からのアプローチは難しい。まぁそれでもボールを自ら揺らしてボタンを押し、飛び出すという強者も居る。
だがわざわざボールホルダーに装着した状態から出てくるとはどういう手口なのか。ボールがぴったり固定されてるんだから、揺らすのも難しいというのに。
腰から突然三つ首の竜とかビックリするからね、ほんと。そしてそのまま僕を抱えてワイルドエリアに直行とかやめてくれ。止めてよキュウコン。笑顔で肩に乗るなよイーブイ。ああサザンドラ、バンギラスのボールを握らせないで。モスノウ、一緒に飛ぶんじゃありません。
というかうちの子はサザンドラからきのみを貰っている。なので余程の事じゃなければ止めないし、何なら一緒に行くとボールに入ったりする。おい仲間を買収するな
「ギャウ」
擦り寄ってきたサザンドラの頭を撫でる。三つ首で甘噛みするのはジヘッドの時の名残だろう。いや、というかモノズの時から噛んでたな?力加減が判らずにかじっとやられて血が出てからは、優しく噛む様になったけど。
肩と頭をあじあじするドラゴンを撫でながら、唐揚げを頬張るトップジムリーダーに目を向けた
『ドラゴンタイプのエキスパートさん、うちの子の脱走癖どうにかならない?』
「もうベランダにきのみの成る木植えたら?」
『流石に狭いわ。じゃあキバナの家に植えてよ。サザンドラにそこなら好きなだけ行って良いよって言うから』
「それならもうオマエごと家に住みなよ」
さらっと割とヤバめな事を言われて目を丸くする。え、住めと?あの広い家に?
『流石に同居はヤバくない?幼馴染でもそれは炎上するのでは?』
「しょっちゅう炎上するんでお気になさらず。そもそもこの部屋じゃイーブイとキュウコンとモスノウは兎も角、サザンドラとバンギラスとアーマーガアには狭いだろ」
確かに我が家はセキュリティしっかり目なだけの普通のマンションなので、バンギラスなんか出せば下手したら床が抜ける。なので彼は基本的にボールの中だ。
サザンドラは特性のお陰で浮いているから良いけど、巨体を誇るアーマーガアも基本的にベランダかマンションの上を陣取っている。
引っ越しは視野に入れてたけど…でもなぁ、幾ら幼馴染だからってキバナの家に転がり込むのは……
悩む僕の隣を青と黒の影が通り過ぎる。
ん?と目を向けると、ルカリオとゾロアークが段ボールを手にしていた。
彼等が向かうのは玄関のある方向。
……抱えられた段ボールからちらっと覗いているのは、どう見てもガラル考古学に関する資料で
「あ、もうオマエのポケモン達は説得済みだから。荷造りも手伝ってくれるってさ」
『………何で釣った?』
此方にゆるりと視線を向けたキバナはにっこりと笑った
「広い家とオレのポケモン」
『あああああ買収されてる……!』
おうち?あれは狭いから引っ越そうね
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