Dad is panic
「サリー、お医者様は呼んだ?」
お父様の勢いについていけなかったサリーはおろおろと私を見詰めた。
「いえ、まだです。」
「じゃあ、お医者様をお呼びして。」
「かしこまりました。」
―なんて賢いのでしょう!お嬢様!―
サリーが内心感激しているのも気付かず、私もお父様の後を追って寝室に急ぐのだった。
「おめでとうございます。ご懐妊です。」
サリーが呼んだお医者様はお母様を診察した後、私とお父様にそう言った。
「「ご懐妊・・・?」」
ご懐妊、妊娠、赤ちゃん・・・え?まじで?
「それでは、ご安静になさってください。」
パタンと扉が閉まり、お医者様は出ていった。
私はお母様が横たわるベッドへと近づいた。
「お母様、赤ちゃんができたの?」
「ええ、そうよ。ヴァルブルガはお姉さんになるの。」
「お姉さん?」
「そうよ。産まれてきたらよく面倒をみてあげてね。」
「うん」
「イルマ!」
お母様と和んでいるとようやく異世界から戻ってきたお父様がこちらにやってきた。
「イルマ、子供ができたのか?」
「まぁ、あなた達同じことを聞くのね。えぇそうよ。あなたと私の第二子よ。」
「イルマ!」
お母様が穏やかな笑顔でお父様にそう言えば、感極まったお父様はお母様のそばにいた私ごとお母様を思いっきり抱きしめた。
「よくやったイルマ!イルマ、ありがとう。」
「ふふふ、これからも幸せにしてくれるかしら。」
「もちろんだろう。」
こうして私を無視して二人はイチャイチャしだしたのだった。