第一章
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〜リクオside〜
「はい、じゃあここでちょっとマニアックな質問します。紫式部の書いた源氏物語にはモデルがいると言われています。さて、それは誰でしょう?」
5限目の歴史の授業中、先生が突然こんな質問をした。
ちょっとってかなりマニアックな気がするんだけど・・・。じいちゃんとかなら分かりそう。なんせその時代を体験してるんだから。紫式部と話してそうだ・・・。
「ん〜、やっぱわかんないよね。これ答えるのは1組の藤ノ宮さんくらいか。」
こんな問題を答えられる中学生がいるんだ。まさか、妖怪だったりして。
そんな事を考えていると突然教室のドアが開いた。
「失礼します。1組の藤ノ宮です。田中先生(数学教師)が忘れていった三角定規を取りに来ました。」
そこにいたのは、綺麗な黒髪に黒い瞳をした女の子だった。この子が例の藤ノ宮さんらしい。全然、妖怪っぽくない。いや、氷麗も傍からみれば妖怪っぽくないけど。
「おぉ〜噂をすれば!さっきの質問聞いてた?」
「はい。答えは藤原道長です。紫式部が藤原道長の愛人説があって、そこから藤原道長をモデルに源氏物語が書かれたのではないかという説が有力だったはずです。」
そう答えた藤ノ宮さんのキラキラした瞳を見て、僕の心臓が急に高鳴った。
―あの瞳に僕を映してほしい。―
って何考えてんだ僕!相手は初対面だし、僕のことなんてしらないだろうし・・・。
一人で内心バタバタしていると藤ノ宮さんはいつのまにかいなくなっていた。
「藤ノ宮さん、かっこいいよね〜」
「ほんとほんと女じゃなかったら付き合いたい。結婚したい。」
「女心分かってるしね。」
「そりゃ、女だし。」
と、クラスの女の子たちが口ぐちに話し出した。
「あ〜あ、藤ノ宮みたいのがいるから、俺ら男子はモテないんだ〜!!」
「でも、藤ノ宮って、女女してなくて、話しやすいよな。」
「確かに。女子と話してるっていうより、仲いい男子と話してる気分になる。」
男子たちも藤ノ宮さんの話題になる。
「はいはい、藤ノ宮さんの話題は休憩時間にね〜。因みに彼女成績優秀だし、考え方も大人みたいだから、教師陣からも大人気なのよ〜。男女問わず。」
これが、恋なのかは良く分からないけど、皆や先生の言葉を聞いて胸の中に黒くてドロッとしたものが湧き上がるのを感じた。
当面の目標は彼女と話をすることに僕の中で決定した瞬間だった。
一目惚れ?
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