きらめく鱗を追いかけて
*名前変換なし
「ねぇ、岩ちゃん!今週の日曜暇?」
「忙しい」
「そんな即答しなくても!ちょっとは考えようよ!しかも絶対暇でしょ!?今日突然聞かされた休日に予定があるなんてあり得ない!!」
今日、朝練の時に突然急遽日曜の練習がなくなったことを告げられた。もちろん予定なんて一つもない。
「日曜にスポーツセンターで『ちびっこバレーボール教室』があるんだけど、猛の付き添いで俺も行くから一緒に行こうよ!岩ちゃん!」
こうして、俺の休日は消えていった。
「はーい!みんな、ゲストの及川さんだよー!徹先生って呼んでねー!」
いつもの2割り増しウザいこいつに俺は何回ボールを投げつけそうな手を引っ込めたことか。さすがにちび達の前でそんな暴挙に及ぶことは教育上よろしくないだろう。
「はじめせんせー!レシーブできたー!」
ちびのうちの1人が嬉しそうに駆け寄ってくる。このちび、もとい真人は今日の教室に参加している子供達の中で恐らく1番俺に懐いてくれている子だ。
「良かったなー、真人!」
頭をかき混ぜるように撫でるとますます笑顔になる。弟ができたらこんな感じなんだろうか。すると、真人がふとギャラリーに目をやった。
「あ、おねーちゃーん!ねぇ、見てた?俺のレシーブ見てたー?」
そこに居たのはスイミングバックを肩にかけて真人に手を振る1人の女子。おねーちゃーんと呼ばれていたことから恐らく真人の姉だろう。歳は俺と同じか少し下くらいに見える。
「見てたよー!上手だったね。お姉ちゃん今から泳いでくるから、教室終わったらギャラリーで待っててね。お姉ちゃんも教室が終わる頃に切り上げるから。」
そう言って体育館のギャラリーを去っていった。
「「「ありがとうごさいましたー」」」
ちびっこバレーボール教室も無事に終わり、及川と帰り仕度をしている時だった。
「はじめせんせー!一緒にプールのギャラリー行きませんか?」
真人が楽しげな表情を浮かべながらそう言った。
「プールのギャラリー?なんか用事あるの?真人くん」
答えたのは何故か及川だった。
「俺ね、はじめせんせーとお姉ちゃんに仲良しになってもらいたいな!と思って!」
「徹先生も仲良くしたいなー!」
「及川先生はちょっと…」
「なんで!?」
「正しい判断だ。」
「岩ちゃん!?」
「駄目かな?はじめせんせー?」
ここまで言われては行くしかない。断る理由も特にないし。
「じゃ、行くか。」
「やったー!はじめせんせーありがとう!」
「俺も行くからね!」
結局及川も行くことになり、俺たちは3人でプールのギャラリーに行くことになった。
プールギャラリーはプール全体を上から眺めることが出来るほどの高さにある。初めてきた場所に俺も及川もキョロキョロとしてしまう。
「あ、お姉ちゃんだ!はじめせんせー、あれだよ!見える?」
真人が指差したのは手前から3つめのレーンで泳いでいる黒い水着を着た人だった。水の中をいとも簡単に進むその姿を思わず目で追ってしまう。ここがプールでなく海ならば、彼女はさながら童話の人魚姫のように見えるのかもしれない。見惚れるように眺めていたら、いつの間にか彼女はプールの縁に到達し、ギャラリーを見上げた。目ざとくそれを見つけた真人は笑顔で手を振る。そんな真人に気づいた彼女もまた満面の笑みで弟に手を振っていた。
その笑顔は俺の背中をトンっと押したように思えた。
「最後に一本飛ぶから見ててね!」
真人の飛ぶという言葉に及川と2人首を傾げた。また彼女に目をやると飛込み台の梯子を上っていった。
「ねぇ!ちょっと真人くん?!君のお姉ちゃんどこまで上るの!?」
「10mだよ」
その数字に俺たちはただただポカンとするだけだった。そんなことをしている間に彼女は10mの飛込み台に到着し、息を整えているようだ。ここまできたらもう、凝視するほかない。
助走をつけてトンっと彼女の体が宙を舞った。コンマ何秒もないその一瞬に惹きつけられる。
さっき背中を押されたばかりなのに、今度は手を引かれて、遂に俺は『彼女』と言う名のプールに落ちてしまったのだ。あぁもうこうなったら、捕まえるまで追いかけてやる。
次の瞬間にはもう彼女は音も立てずにプールの中にいた。
高飛びの知識皆無の中、どうしても書きたくて書きました。反省しているけど後悔はない(笑)
間違いだらけでごめんなさい
でも続編書きたいな(笑)
2015.06.12
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