テスト
プロシュート兄貴に一人前だと認めてもらえたが、何だろう。私の中では納得がいかない。私、まだ半人前な気がするの。具体的な理由は思い浮かばないけれど、心が晴れない。私の心は曇り空だ。そこで、私は考えた。このことを自分より知識?のある人に相談すれば解決するのではないかと。
「オレを相談相手に選んでもらえて
嬉しいよ。ベッリーナ」
「で、どう思う?メローネ」
「そうだな……」
顎に手を当てて、思案するメローネ。私は疑問に思うことがあったら大体私はメローネに訊くようにしている。メローネの説明は分かりやすくなおかつ簡潔だ。頭が良いんだと思う。そんな賢いメローネに相談しても分からなければこのもやもやはずっと解消されない気がする。
「ナマエは自分が一人前になった姿を想像できるかい?」
私はすぐに首を横に振った。
「あまり想像できないや」
彼はちらりと私の顔を見て、困ったような顔で私にこう告げた。
「ナマエは理想が高すぎるじゃないかな。
もう君を半人前なんてマジに言う奴はいないと思うぜ」
「そっか」
私はチームのメンバーに一人前と認められているのか。強ばった表情が自然と綻んでいくのが自分でも分かった。
「ありがとう。メローネ。」
先程頼んだエスプレッソを飲んでいるとメローネがしれっと私にとんでもないことを尋ねてきた。
「ナマエってプロシュートのこと好きなのかい?」
思わず、吹き出しそうになった。何とかエスプレッソを飲み込んだから、白いテーブルクロスに黒い染みを作らないで済んで僥倖だった。しかし、プロシュート兄貴のことが好きだというのは一体どういうことだろうか。恋愛的にという意味なのか、人としてという意味なのか。きっと後者だろう。落ち着くんだ、私。もう一度、冷たくて苦いエスプレッソを飲んで、平常心を取り戻してから私は答えた。
「もちろん好きだよ。尊敬してる」
「付き合いたいとか思わない?」
「ないない。兄貴も私なんか願い下げだと思うし。釣り合わないもの」
いつもの自分を装っていたが、この時実は心臓がドクドクと脈打ってうるさかった。ああ、騒がしいな。メローネにこの音聞こえていないよね。大丈夫だ。手の平を扇代わりにしてパタパタと自分の顔をあおいだ。
「今日、暑いね」
「そうかな?」
「うん、とっても暑い」
「トマトみたいに顔真っ赤だな。ナマエ」
ちょっと兄貴のこと考えただけでのぼせてしまった。私かなりやばいのかもしれない。
「やっぱプロシュートのこと……」
「違うよ」
「じゃあプロシュートのこと全く恋愛対象として見ていないのかい?」
「それは……」
私は言葉を詰まらせた。何て、返答すれば良いのか分からなかったからだ。そういつも私なんて兄貴の恋愛対象外としか見られていないはずで、私に好意なんて持たれても迷惑だろうと思っていた。それ以上はいつも考えるのをやめている。わざと考えないでいるといった方が正しいのかもしれない。気付かないふりでいた方が幸せな場合もあるからだ。そんな動揺を隠せずにいる私を見て、メローネは幼子をあやすときのようにやさしい声で私に言った。
「君は自分が思っているよりも綺麗だよ。
もっと自信持っていいんだぜ」
「……本当に?」
「嘘はつかないさ」
肩の荷が降りた気がする。言葉一つでこんなにも変わるものなのか。灰被った女の子が魔法使いに杖を一振りされたとき、きっとこんな気持ちだったんだと思う。
「