吸血鬼パロ2
その場所についた瞬間から不快な匂いを嗅ぎとった男は顔を歪めてみせた。
「俺らを呼ぶなら鑑識とか必要ないでしょ」
「警察呼ばれたら調べねえわけにはいかねんだよ。お前らみたいな超自然的なもんが原因だったとしてもな」
「こんな場所に放置したら人に見つけてくださいって言ってるようなもんですもんね」
「まぁな。あいつ、今日は随分と不機嫌じゃねえか?」
「あー、寝起きに嫌なもの見せられて嗅がされたら不機嫌にもなりますよ」
警察の鑑識などが調べている規制線の外側で1人の男と1人の刑事が話していた。
その話題に出ている男は規制線の中で女性の遺体があった場所の近くに立って微かに残る血の匂いを嗅いで女性を失血死させるほど血を貪った吸血鬼の正体を探っていた。
匂いだけでもその吸血鬼が遊びで女性を殺したことがわかってしまう男は吐き気を覚える。同じ吸血鬼でもクズはいる。
耳を澄まして野次馬の中や、素通りする人の中に気にることを言っている人がいないか探っていると昨日嗅いだ甘い匂いと一緒に揉めている話し声が聞こえた。
規制線の外側で話している刑事の方がかかってきた電話に出るのと話の内容を聞いて2人の近くに飛んで戻る。
「おう、聞いてたかもしんねえが怪しい動きしてた女を引っ張ったらしい。今から事情聴取だ」
「俺も立ち会う」
「ここにはなんも無かった?」
「殺されるときにどんな気持ちだったかくらい」
「それは残念」
「立ち会ってもいいが邪魔すんなよ」
____
新人の刑事がドラマの如く萎縮して座る女性に机を挟んで優しく聞いているんだろうが威圧してるようにしか見えない顔で質問していた。
「女性が1人でなんで夜にあんなところにいたんですか?」
「たまに、夜に散歩したくなるの」
「調べたけど君の家はあそこからずっと遠いところだろ?なんでわざわざ?」
調べられたことに露骨に顔を歪めてみせた彼女を透視窓から見ていた男はつい笑ってしまった。
座っている彼女を下から上にしっかりと見た男は違和感を覚えて一緒に覗いている男に問いかけた。
「ジュリ、昨日って満月?」
「昨日?えっとね、あー、確かに満月」
「そういうことね」
「は?おい!ジェシー」
「おいこらっ、勝手に入んなバカ!」
2人に止められるのも無視して勝手に取調室に入ったジェシーは怒鳴ってくる新人刑事を無視して彼女に微笑みかけた。
ハッとした彼女の顔に自分を覚えていたことに安心して手錠もされてない片方の手を取り立ち上がらせると取調室を一緒に出るために歩き出す。
「はい、釈放ー」
「え、あの」
「おい勝手なことするなよ!お前だれっ、」
「何?」
「っ、!!」
「俺が彼女を連れてくことに文句でもあるの?」
新人刑事が2人を引き止めようとした瞬間ジェシーから発せられた声に、不思議な瞳孔の目に見られ息ができないんじゃないかという錯覚に襲われて立ちすくむ。真顔のまま首を傾げてみせたジェシーになんとか首を振って否定してみせれば何かが解かれるように息を思いきり吸い込んだ。
「ジェシー?」
「あとで連絡する」
「フォローしとくけどマジでちゃんと連絡しろよ」
「了解。ごめんねエンケンさん」
エンケンと呼ばれた刑事はため息をつきながら追い払うように手を振ってみせた。
「あの、ありがとうございました?」
ジェシーの独断による釈放で外に出た彼女は訳もわからず伝える言葉がこれでいいのか疑問に思いながら伝えれば掴まれていた手を裏返され掌を見られる。
「昨日、怪我してたのにもう治ってる」
「っ、」
何もなかったかのように綺麗なその手を見られ思いがけず手を振り払ってしまった。そんなことをすれば見られて困ることだとバレてしまうのに。
「怪我って、なんのこと?」
「……きみ、狼だろ」