order of death�F
歩む=陥れる事である。せがむ=自己を肯定する行為。危ぶむ=意趣を凝らす。減らず口=賞味期限間際の土産。煙草=秋風。サイクロイド曲線=コーヒー缶の縁に浮かぶ煙草の灰。温故知新=人差し指から香る煙草の臭い。むせ返る程の生きにくさ=山頂でくゆる煙草の煙。タバコ=烟草=煙草=莨=たばこ=( ゚Д゚)y─┛~~
浅野は午後のオフィスで目頭を抑え、「キーボード」でタンゴのリズムを刻む。
「浅野、酒だ。付き合え」俺は浅野の肩をギュッと掴み、京の街並から望む大仏のご尊顔を覗かせ、凛々しさ携えて言った。
「まだ夕方の16時ッスよ。まだ、あと200の組み合わせを考えないと、今週の配給に響くっす」
浅野は引き出しから紙袋を取り出し、その中から紙タバコを取り出すと、鼻に擦り付け、嗚呼と哭いた。
「浅野。プログレ界の有名な詩をお前に授ける。いいか⋯『ヘキサのメチルはインカのピラフ』」
「つまり異相対をミラーを使えば1はジでありカルテットなのだ」
浅野は顔はみるみる綻んだ。
「それだ!」
かくして私たちオス型コンセントのように両の鼻にタバコをを引っ提げ、57番街に新しくオープンした、『提灯酒場『やさぐれ(はしご酒)『はじめから2号店』』』へ向かうのである。
ホラー通りから二条ほど逸れた隘路にその店はある。何より目を見張るのが、室内全面喫煙可の文字。あたかも、人類の尊厳を守り通しますと言わんばかりの、気品に溢れた佇まいではないか。
「あいよ。お愛想ね」
ガララと扉を開けると、綺麗に剥き損ねた温泉卵の頭部にねじり鉢巻を巻きつけた『大将』が挨拶をした。
ニカッと笑う笑顔には前歯が2本足りない。
「運命がレモンをくれるなら、それでレモネードを作ろうじゃないか」
浅野はニコリと笑いズゴゴと椅子を引いた。
「モチベーションは、自分がそれをどれだけ求めているか、そしてそれを手に入れられる可能性をどれくらい信じているかによって決まる」
洋介はウインクをし、パチリと指を鳴らし損ねた。
「あいよ、お愛想ね」大将は全てを見透かした笑みで、哀愁を漂わせた。
「洋介さん。見て下さい。あの写真」
オープンしたばかりの店内に、ヤニと油で茶色く汚れた写真が飾られている。
「あれは⋯禁猟区⋯か?」
「ッスね、多分。一緒に写ってるのは奪われた者達っすかね」
「兄ちゃん達、それはお愛想だよ」
千ベロセットで出てきたのはツナサンドと提灯アンコウの灯火、そして電気ブランだった。
「秩序の限界と回帰の芽生え、崩壊と解放の序章、マルコム史書にあった世界は、連綿と繋がる歴史の丁度折り返し地点となった⋯らしい」声の主は3つ隣に座った麗しき女性である。
洋介は彼女のしたり顔の下に覗くぎこちない心の所作が見え透いて、箸の置き場に困った。
「おい、尻汗爪垢女。男同士の会話に割り込むと、斜め63度から鋭く怪我するぜ」浅野はお口をチャックしながら腹話術で語る。
「残念ね。エーデルワイス紀行にはオーバーメタルのジャングルが広がっていたのよ。この写真に写っている155ccバイクにはあなたの一生分の自由が詰まっていた⋯らしい」
女は睫毛を伏せ、お猪口にサケを注いだ。
素晴らしい夜の気配がする。
浅野はぐいと電気ブランを飲み干した。
「大将!お愛想!」
「らっしゃい、毎度。ひさしぶりやね」
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