自分達の為の第一歩
とある情報を拾った。
敵連合、雄英高校1年ヒーロー科に襲撃した敵チーム。
そこにステインさんが与して雄英生に敗北し捕まったという情報。
あれだけ強いステインさんを倒すとは、厄介そうだなぁ、雄英生。流石は天下の雄英高校のヒーロー科、エリート様々だ。
表向きにはエンデヴァーが捕まえたことになってるが、会見でのあの表情は見物だった。とてもじゃないが納得いかないとでもいう顔。
敵連合とステインさんが提携を結んだ、と言われてるのは雄英襲撃にいた脳無と呼ばれる改造人間が保須に放たれたのとヘリで放送していたマスコミの一つに敵連合の2人組が映っていたから。
敵連合。表向きのリーダーは死柄木弔さん、個性は崩壊。サポートに黒霧さん、個性はワープゲート。
裏には今の裏社会では都市伝説にでもなりかけている最大の巨悪「AFO」がラスボス的にいるらしい。
AFOに関しては正直危険が過ぎる気がするが敵連合が良さそうなのは事実だ。
これだけ情報を集めるのにヒミちゃんと結構別行動をしたりした。尚、情報集めはヒミちゃんより私の方が得意だから情報屋として稼いでいたりもする。
その伝で知ったことをヒミちゃんに話したらとても楽しそうに嬉しそうにして敵連合に入りたいと言ってきたのでこれは決定事項である。だってあの可愛いヒミちゃんの要望なのだ、叶えないわけにはいくまい。
予想していたことなので私は大物ブローカーである義爛さんと連絡をつけてとある非合法の店で会うことになった。その事をヒミちゃんに伝えて2人で待ち合わせの日出掛けて会いに行った。
一応武器は持ってる。当たり前だが裏の世界は危険が身近で、死と隣り合わせの生存戦争なところあったりするからだ。
その分、自由な面も多いからいいところではある。弱肉強食が地を行く世界でわかりやすいし。
非合法のとある店。違法カジノBarだから勿論本来は未成年の私達は入らない。今回は来たけど。カランカランと音を鳴らしながら店内に入る。義爛さんの外見的特徴は教えて貰っていたのでそれを頼りに店内を見渡して灰色の髪に腸のようなマフラーをした男性に近付いた。
「初めまして、義爛さん?」
「ん?あぁ、お前さんらか、敵連合に入りたいっていうのは」
「はい!ステ様と同じ所に入りたい!」
「ということで、仲介をお願い出来ませんか?」
義爛さんは私達よりずっと歳上の大人で丸い色つきサングラスをして煙草を吹かしていた。
「構わないが…取り敢えずお前さんらの情報を教えてくれ」
促されるままヒミちゃんと義爛さんに対面に座る。奢りだといわれたので私はベリーミルクを頼んだ。ヒミちゃんは無難にオレンジジュースを頼んでようだ。お気に召すのがなかったからだろう。
「じゃあ自己紹介から。改めまして私は佳与弥刀、敵名はラム。個性は刃であらゆるモノを刃物に変えて操れる。歳は今年17歳になります。えーと、連続
猟奇磔事件の容疑者として追われてます。得意分野は情報収集や情報操作、奇襲で個性で基本殺りますが、刃物は基本扱えます。で、こっちが」
「トガです!トガヒミコ。個性は変身で飲んだ血の人に変身できます、服も合わせて変身できます。ステ様が好きで、ステ様になりたいです、殺したい!だから敵連合に入りたいのです!!」
「ヒミちゃんは隠密行動と奇襲が得意で得意武器はナイフです。連続
失血死事件の容疑者として追われていて、私達は幼馴染みなので歳は同じです」
それを聞いて若いのにビックネームだなと彼は笑い、苦い煙草の煙を吐き出した。それに苦手だなぁと思う。タバコの匂いは得意じゃない。
「じゃあ、1つだけ質問させてくれ」
一拍。
「あんたらは、何を求める?」
嗤ってしまう。
酷い人。
「「─────」」
にっこり笑っていってやると彼はケラケラとおっかねぇなと茶化した。
「オッケーオッケー………今度もう一人と一緒に紹介してやるよ」
「やったー!」
「良かったね、ヒミちゃん♡」
きゃっきゃっとはしゃぐヒミちゃんに暖かい目線を送る。本当に可愛い。可愛いの権化だなぁ。
そうして次の約束を取り付け帰路についた。ネオン街はキラキラしているけど少し路地に入ればすぐにチンピラが屯っている。
私達が、ヒミちゃんが息が少しでもしやすい世の中に、私は、変えたい。今回敵連合の事をヒミちゃんに提案したのはそういう訳だ。
危険な道でもこれで少し変わる気がした。変わらない世間を、変えれる気がしたんだ。
私と手を繋いで楽しげにスキップするヒミちゃんが幸せになれる世界になって欲しい、確かに私はそう思う。
恋じゃないけど私はヒミちゃんがずっと大好きなんだ。愛してるの。
両親よりもなによりも。それに■■ちゃんだってそう思ってくれるから。
だから、一緒に世界を変えにいこう。世界が私達を否定するなら私達も抗おう。ね、ヒミちゃん。
◇◇◇
腕を組んでまるで恋人同士のような甘さを残して去っていく美少女二人、それを煙草を吹かしながら義爛は見送りながらどうしたものかと思い悩む。
佳与弥刀と渡我被身子。彼女らが引き起こしている連続怪奇事件は人々の恐怖の一つだ。間違いなく大物で、能力は申し分ないと断言できる。
だが、同時に彼女らはまた[#ruby子供=_・・#]なのだ。
責任能力云々よりも、未来を思ってしまうのは義爛の少ない良心からか。
彼女らが|敵《ヴィラン》だとしても、食べ物の好き嫌いをして、互いに甘えてとしているのを目の前で見て、より救えないだろうという気持ちと幼いなと子供を見守る親のような、親戚のような目線が出てしまう。
取引相手であるからそういう私情は出さないようにしたものの、可哀想だと思ってしまう自分がいた。
彼女らは|敵《ヴィラン》らしい倫理観をしているのは間違いない。けれど、それを救ってやらなった環境にいたのは不幸だと思う。そして、この社会なら仕方ないだろうとも。
そういう点では、紹介先のボスと気が合うのだろうなと思う。
彼らは今の社会へ疑問を投げかけ、壊さんとするものだから。
特に、佳与の方はかなり今の社会への疑念と憎悪が強い。死柄木と同程度には憤怒に燃えている。くるくると表情が変わるようでいて、あれの下には常に怨嗟の炎が渦巻いている。
生きにくそうな気質だなと今までのやり取りで思ったものだ。
若いってのは難しいお年頃だな、とやれやれと義爛はため息を付いた。
ままならないものである。
吹かした煙草の煙が空に溶けて、目に染みたような気がした。
- 5 -
前*
しおりを挟む
ページ: