「またこんなに買ってきたの」
「…」
そう言われるのは承知でのことだったが実際に言われると、やっぱ傷付く。
だって俺は恋人のことを想って…
いつだって、どこにいたって俺はシュアのことを…
「みんなで分けようよ」
「鬼だな」
何かにつけてプレゼントを贈りたがる俺に対して、いつだって彼が呆れ顔なのはもう慣れた。
なんでもない日でも出先で見つけた美味しそうなモノや可愛いモノ、似合いそうなモノとか、気付いたら買ってしまって彼に贈るのだ。
そんな俺なので、なにかの記念日は有難い。無条件にプレゼントを贈ることができるからだ。
「だってこんなに食べれない」
「全部が食べ物じゃねーよ!いいから見てみろって」
「え〜」
「せめて開けてくれ…!」
今日は"バレンタインデー"で、ちょっと街に出ればそこらじゅうにプレゼントが並んでいた。
シュアはあっちで育ったわけだし、皆んなに比べたら幼い頃からこういうイベントには馴染みがあったのではないか…
アメリカの方が盛大にしそうだもん、イベントごと。
だからこそ、「ねぇスンチョル…俺はバレンタインもろくに楽しめないの?」なんて言われたら悔しいから、俺は目についたプレゼントを買いまくった。
そして贈った。
それなのに聞いた?
みんなで分けようよ、って言った…
「開けるけども」
「…うん開けてくれ」
「うん」
「…そしてできれば嬉しがって」
「注文多い」
「だって俺、シュアのために買ってきたんだよ?みんなで分けるとか言うなよ…」
皆んな用じゃないんだから。
恋人用なんだからさ。
お前がちょっと笑って、呆れながらも嬉しそうにしてくれてたらそれだけで満足なんだけど…
鬱陶しい方が勝っちゃったかなぁ…
「…冗談だよ」
「え?」
「俺へのプレゼントでしょ?」
「…お、おぉ」
「ありがとう。嬉しいよ。でも一つでいい」
「…そ、だよな」
彼は一番上にあった小さな箱を手に取り、器用にリボンを外した。
「Oh〜! It's chocolate‼」
ぱっ!明るく咲いた笑顔が嬉しくて、俺もつられて笑顔になる。
チョコレートを一つ頬張り、彼は「美味しい」と喜んでくれた。
「スンチョルも食べる?」
「いや、いいよ俺は。シュアにあげたんだから」
「でも俺用意してない」
「…知ってる」
「だからあげる」
要らない、ともう一度言うとギロリと睨まれたから俺は慌ててチョコレートを貰いにいった。
箱の中のチョコレートを見つめ、「どれ食べてもいいの?」と顔を上げると、目の前の彼が口を開けて近づいてきて俺は固まった。
「……」
「………」
唇が離れた後、口の中にほのかに広がった甘い味。
「美味しい?」
「…え…あ……う、うん…!」
「Thank you as always. I love you.」
「え、え!?早過ぎて分かんない!!」
「速度の問題じゃないでしょ」
「もう一回!!」
「사랑해♡」
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