my angle


あったかいね




「…お。起きたか?」

「……」

「…おはよう」

「……」

「…身体大丈夫?」

「……おはよ。大丈夫」


身体にのしかかってくる気怠さ…
起きようとしたのに力が入らない。

シャワーを浴びて戻ってきた様子のクプスは俺のそんな姿を見て心配そうに駆け寄ってくる。
そして彼に支えられながらなんとかベッドから起き上がった。

何も着ていない自分の姿を見下ろし「…どうりで寒いはずだ」と冷静に呟くと、彼は慌てて服を取りにいった。

頼んでもないのに


「これ着ろ!!」

「…あぁうん。でも俺もシャワー浴びたいから」

「いや待て、分かった、じゃあお湯ためてくるから」

「…別にいいよ」

「寒いんだろ?シャワーじゃ温まんないから!」

「待ってよ」

「待ってろ!」

「待てって」

「…」

「スンチョル。待てって言ってる」

 
俺の言葉も聞かずズカズカと浴室に向かう彼を呼び止めると、3回目にしてようやく立ち止まった。
困ったように振り返り、俺を見つめる彼にこっちに来いと手招きをすると諦めたように近付いてくる。


「風邪ひくぞ…?」

「スンチョル」

「…はい」

「俺ね、」

「…」


彼は濡れた自分の前髪を邪魔そうに避け、俺の顔を不思議そうに見つめた。
俺が何を考えていてどうして欲しいと思っているのか読み取ろうと、必死なんだ。

察しがよくて優しいクプスも、恋人相手だとそうもいかないようで、それが俺としてはとても愉快だった。

皆んなの知っているクプスと
俺しか知らないスンチョル

皆んなのクプスと
俺だけのスンチョル

そんな事実がとても愉快だった。


「俺ね、シャワー浴びたいんだけど」

「…あぁうん、だよな」

「からだが怠くて仕方ない」

「…」

「だから手伝ってくれない?」

「エ」

「スンチョルだよね。俺のからだヘナヘナにしたの」

「へなっ…」


弱い所をグサッと突き刺し、下から覗き込むように見上げると、彼は耳を赤くして頷いた。
思い通りになったのが嬉しくて俺は勝手に口角が上がる。
それを見て彼はまた困ったように眉を下げた。


「…じゃあ早く入ろう。風邪ひくから…な」

「ん。連れてって」

「乗れ…」

「背中じゃなくて」


前で抱えて、とねだると言われるがままクルリと方向を変えて両腕を差し出してくる。
彼の首に手をかけ抱き上げられ、浴室までゆっくりと運ばれる。

寒かったけど、なんだか温かい気持ちが溢れて心地良い。

外の太陽が元気に光っているからだろうか
朝ごはんのいい匂いがしてきたからだろうか
我儘を聞いてくれる優しい恋人がいるからだろうか

何故だか
目覚めて、彼が視界に飛び込んできてからは
とても

温かかった。


「あったかいね、スンチョル」


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