「ジューー…ン!!」
「……」
僕は少し機嫌が悪かった。
愛する人とせっかく二人きりだというのに、それなのに少し機嫌が悪かった。
「どしたのお腹痛いの」
「…痛くない」
「ラーメンの食べ過ぎだよ、きっと」
「…食べてない」
「食べてたじゃん今日。4つも」
「…食べたけど。痛くない」
離してよ、と首に回された腕を避けようとしたけれど寂しくて出来なくて、隣に座った彼は僕の頬に顔を擦り付けるようにして戯れてくる。
嬉しい。
…でもやっぱりイライラする。
でも嬉しい。
……だけどやっぱり、…いやぁ、もういいか。
「ヒョン、ちゅーして…」
「ちゅっ」
「…もういっかい」
「なんで怒ってた?」
「ううんもういい。もういっかいして」
僕の好きな人は、男のひとだ。
女のひとより美しくて優しい、男のひとだ。
だからとても人気者で
女のひとからも男のひとからも取り合われている。
僕も気持ちが分かるから仕方のないことだよねって、いつも耐えているつもり。
彼が、「二人きりの時以外はいい子にしていて」と願ったから、だから僕は彼の言う通りいい子にしているつもり。
なのにどうして?
「僕はダメだけど、みんなはいいの?」
「んー?」
いつだってくっついていたいから
ちゅうもハグもいつだってしたいのにダメだから
だから僕は彼と少し離れた距離にいたりして
愛する彼を遠くから観察しているのだけど、彼の周りには常に誰かがくっついている。
メンバーとのジャレ合いは無意識だし、距離が近いと言われて初めて気付くくらいナチュラルにスキンシップをとっている。僕も、彼も。
僕が今日少し機嫌が悪い理由を話すと、今日の彼のスキンシップは見ていてヒヤヒヤするくらい近かった。そのままちゅうしてしまうのかと思うくらい。それも彼の方から。
「ハニヒョンはなんで僕以外のひとにくっつくの?」
「そうかな」
「ちゅうしようとしてた」
「してないよ、何言ってんの」
「見てた」
「してないよ?」
「……」
「ジュニにしかしないよ」
…ヒョンからしてくれることは滅多にないけど。
それでもその言葉で簡単に嬉しがってしまったのを隠しきれなくて、つい端の上がった口元を隠すと、彼は面白そうに笑っていた。
「可愛いなぁ」
「ハニヒョンの方が…」
「おれの次に可愛い」
「…あんまり近くにいかないで」
「えぇ?それを言うならジュンも同じでしょ」
「僕はハニヒョンにしかちゅうしない」
「だから、おれだって…」
がばっ、と細い身体を覆うように抱きつくと、彼は僕に押し倒された。
そのままキスをして、ハグをして、もう一度キスをした。
「…話、最後まで聞けよ」
「僕の」
「……」
「僕のだから」
忘れないでいて。
ヒョンのお願いはこれからも守るから。
だから僕だけのヒョンでいて。
「お前も、おれのだよ」
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