「ハニヒョン!」
どした?と振り返れば、満面の笑みで立っているジュンが何かを自身の後ろに隠しながら近付いてくる。
…なんだ?
なんの日?おれの誕生日は先月終わったし、記念日は来月だし、あとは…
「これっ…どうぞ!」
「……」
差し出されたのはカップラーメンだった。
確実にプレゼントだと思っていたから、あぁ例えば薔薇の花束とか?綺麗にリボンのかけられたボックスとかさ。
まさか楽屋に転がっているカップラーメンを両手で差し出されるとは予想できなかった。
「…それ、なに?」
「ラーメン!」
「…だよな」
「トマト味、新しい」
「そうなんだ。ありがとう、ジュナ。でもおれはいいから食べな、好きでしょ?」
「これはハニヒョンの為に買ってきた」
……そうだったのか
楽屋に転がっているカップラーメンとか思ってしまってごめん…ジュン….
彼のプレゼントのセンスもタイミングも独特だ。
何かの記念日じゃない日でもふとした時に、プレゼントをくれる。
今みたいに、「ハニヒョン!」と嬉しそうな笑顔で近付いてきておれの予想の中には全くないモノをいつもくれる。
「ありがとう。あとで食べるね」
「アハッ、ふっ…フフ!」
嬉しそう…
くれるたびに思うけど
プレゼントを貰う側のおれより、あげる側の彼の方が嬉しそうに喜んでいるのが不思議でならない。
あげることが楽しいのだろうか?
不思議だけど
可愛いらしくて愛おしいなぁ…って
そっちの方が勝って、結局おれもつられて笑っている。
「よかった、喜んでもらえて」
「うん。喜んだ」
「あはっ、ヒョンにも早く食べて欲しい」
「そんなに美味しいの?」
「美味しいからみんなに買ってこようとしたけど、ハニヒョンだけ特別!」
「いや買ってきてあげてよ」
そこは買ってきてあげなよ
べつにカップラーメンごときで嫉妬しないからさ。
おれは差し出されたトマト味のカップラーメンを見つめ、「そんなに美味しいのかお前は」と呟いた。
ジュンは本当によく食べるし、なにを食べていても美味しそうだけど、ラーメンを食べている姿は特によく見る。
その中でも特別なトマト味なのか…
凄いなぁこいつ
「お返しはなににしようか」
「え?」
「コレ、のお返し」
「そんなのいらないよ?僕がヒョンに食べてもらいたかっ」
目の前の彼の腕をクイッと引いて、ちょん。と小さくなっていた唇にキスをした。
一瞬だけ触れて、ゆっくりと離れて、
どんな表情をしているかと見上げれば、大きな瞳をパシパシと動かして驚いている。
「睫毛なが」
「…ひょ、」
「お礼だから」
「お礼なら僕もキスしてもいい!?」
「声でかいんだよ…!」
彼との関係はもちろん内緒だ。
シュアやスンチョルにはバレてるかもしれないけど…
でも絶対に公にできないことを前提で成立している関係だ。
スキンシップが多い彼だからこそ、外ではそういうのやめような。と約束していたくせに今のはおれがダメだった。
すぐさま誤魔化そうと「お礼」とか言ってみたけどさすがのジュンにも通用しなかったか…
「僕もキスしたい!!」
「ダメだよ…っ、ちょ、…離れろ!」
大きな身体でおれを拘束し、頬や口に何度もキスをされているこの状況を、メンバーやマネージャーさんが見つけたら…いったいどう思うだろうか
『えぇ…』か、
『やっぱりおまえら〜』か、
いずれにしても今バレるのはマズイ…
「ごめん、おれが悪かったよ…離して」
「……ハニ…」
「オイオイ待て待て、ストップ」
スイッチの入りかけた彼の顔に勢いよくトマトラーメンを突き出した。
「……トマ、ト」
「食べよう!一緒に!」
「……」
「な!」
「…食べる」
「よし食べよう!今すぐ食べよう!」
「食べよう食べよう〜」
ありがとうトマトラーメン。
やっぱりお前、凄いな…
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