my angle


あなたみたいな※設定捏造


※設定捏造



その人を目にしたとき僕は
男なのか女なのか分からない人に出会ったのは初めてだ.と思った。
そしてどちらだとしても
こんなに綺麗な人に出会ったのは初めてだ.とも。

「おれの性別で迷ってるなら、答えは男だよ」

声には出してないつもりだったけど、その人は僕の考えていることはすべて分かっているような口振りでそう言った。
もしくは僕が抱いた疑問と同じようなことを、聞かれ慣れているのかもしれない。


中国の制作スタッフに連れてこられたのは一面真っ暗闇で薄気味悪い雰囲気が漂う街。
韓国での撮影が終わり打ち上げと称して美味しくて高価なモノを沢山食べさせてもらえたところまではよかったけれど、酔っ払った大人の男たちが提案したこの場所についてきたのを僕はとても後悔していた。

空気が美味しくないと思ったから。
色んなモノが混じった変な匂いがする。
動物みたいなこの鳴き声は人間が出しているのだろうか。変だ、とても。気持ちが悪い。

「ジュン来い、とびきりを用意してやったから」
「…」

連れてこられた店の中でキョロキョロと落ち着かないでいる僕に、スタッフはそう言った。
なんの用意?
なんの相手?
こんなところに居たくない。息苦しい。出ていきたい

「……」

カチャリ、
音を立てて開いた扉から部屋の中に入ってきたのは
白っぽい金色の髪をした、華奢で弱々しそうな人。

「高い金払ってんだ。しっかり楽しんで帰れよ」
「え…どこ行くの……っ」
「じゃあ頼んだよ、"チョンサ"」

後を追いかけようと立ち上がると僕の腕は"チョンサ"と呼ばれたその人に掴まれ引き止められる。

まぢかで目を合わせたとき、僕は息が止まった。

生まれて初めて見るその存在があまりに美しくて

現実であることを忘れてしまうくらい幻想的で

僕は呼吸をすることさえ忘れてしまった。


男なの?女なの?
そのどちらにも分類できない存在をまじまじと見つめていると、彼は「おれの性別で迷ってるなら、答えは男だよ」と。

そして

「綺麗な顔だね」

微笑みかけられ、僕は

「…僕もいま同じことを思ってた……貴方を見て。」

こんなこと言うつもりもなかったのに
その人の瞳に見つめられると感情がぽろぽろとこぼれて出て行ってしまうような感覚になる。

「行こうか、ジュン」

不思議と僕の嫌悪や恐怖はどこかへ消えていって
彼の冷たい手に誘われるがまま更に暗い闇が広がる部屋へと連れて行かれた。





「…チョンサ、っていうんですか?なまえ」
「あぁうん、まぁそう」
「…へぇ」
「ジュン」
「…はい」
「ジュンは初めて?」
「…なにがですか?」
「こういうところに来るのは初めて?」
「…はい」
「じゃあ男とするのは?」
「……ん…?」
「そう。分かった」

僕は何も分からなかった。
彼に連れられてきた部屋は真っ黒の壁に真っ白のベッドが1つ置かれているだけの殺風景な空間。
そのベッドに座って手招きをし僕を呼ぶ彼に恐る恐る近寄ると、彼は恭しく服を脱ぎ始めた。

「…ぇ、…えっ!?…あの…」

さっきこの人が男だということは分かったけど、それでも何故か見てはいけないと思った僕は目を逸らした。

「なんで逸らすの?」
「…いや、だっ…て…」
「ちゃんと見てて…」

僕の手を取り、脱ぎかけた服の隙間から中へと誘う。
僕はびっくりして離れようと手を引いたが、彼の力が想像していたよりずっと強くて、それにまたびっくりした。…本当に男なんだ…って。

脱ぎ捨てられたシャツの下にあった透明感のある白い肌
少しでも力を込めて触れたらそのまま崩れてしまいそうなくらい華奢な身体

大きくて

でも儚い…

天使の翼が見えた気がした


「おれを見て?ジュナ…」


そんなこと言われなくても


「…抱かれたい?」


目を逸らせない


「……抱きたい?」


僕は…
今、何を考えているんだろう

なにをどうするのか
方法も手順も何もかも分からないのに

それなのにこの人を
抱きたい…と思っている、そんな自分が

怖くて仕方なかった


「…大丈夫。ほら触って?」
「……」
「…おれもドキドキしてる」
「……」
「ねぇ、抱かれたい?それとも」
「………ぃ…」
「……ん?」
「抱きた…い……」



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