「なぁ、ジュン」
「なんですか?」
「おれの好きなとこ、今から言っていって。10秒数えるから」
「分かりました」
「じゃあ行くよ、じゅーーう…」
「顔が綺麗、顔が格好良い、顔が可愛い、顔が凄い」
「ちょっと待って一旦止める」
きょとんと首を傾げる彼に向けて、俺は大きな溜息をついた。
「…顔しかないの?」
彼の肩に手をかけ、呆れながら聞いてみると
彼は笑顔でうなずいた。
「顔しかないわけじゃ、ないけど!」
でも真っ先に思い付くのが中身よりも外見だというの恋人としていかがなものか…
嬉しくないことはないけどお前は俺の中身…というかその、他のやつには見せていない一面…みたいなとこを、見つけてくれて、そこに惚れてくれているんだと思っていたから。
思ってたのと違ってちょっとショックなんだけど。
てか「顔が凄い」ってそれはもう褒めてくれてるのかどうなのか分かんないよ。
「ハニヒョンは僕が知ってる人の中で一番美しい人だから」
「…」
「顔だけじゃなくて、肌も、手脚も、瞳も、髪の毛も、」
「…いや結局、」
「声も、香りも、心も」
「…」
「全部、美しいんだ」
照れ屋なくせに、そういうことはサラッと言えるんだな。と感心するフリをして熱くなった自分の顔を隠す。
あどけない笑顔で微笑んだ彼は、俺の手をギュッ…と握って、そのまま自分の身体の方へ引き寄せた。
「…心、も…?」
「心も。優しい人は心が美しい人だって、ママが言ってた」
「…そっか」
「ヒョンは美しい人だよ。この地球上の誰よりも」
「……ジュニの勝ちだな」
「えっ」
俺の好きなところを言わせて、恥ずかしがる姿をからかってやろうと思っていたのに逆にこっちの方が…
彼のこんなふうな真っ直ぐなところは、本当に俺の調子を狂わすんだ。
純粋で少年のような心のまま大人になった彼こそ、地球上の誰よりも美しい心の持ち主だと、俺は思う。
そしてそんな彼にだけはいつも敵わなくて、
彼は無意識だろうが唯一俺が振り回されているのは彼にだけなんだ。
むかつくけど
仕方ない
だから俺は、
ジュンだったんだ。
「いつから勝負してた!?」
「はじめから」
「僕の勝ち?」
「ジュニの勝ち。おれの負け」
「じゃあもう一度しよう?次はきっとヒョンの勝ちだ」
「ううんいいんだよ。お前には敵わないの、おれは」
「……」
恋に落ちたその日から
おれは彼に勝てたことなんて一度もないんだ
先に好きになってしまったおれの負けなんだよ
「…強いね、僕」
「ははっ…、だなぁ」
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