これが恋?!

【こはく・世話焼きたいんです!】

「ええっと…自分で出来るよ?」「わしがぬしはんのお手伝いしたいっち思ったんやけど…あかん?」「いやぁ…あかんくないけど」「ほっかほっか♪よかったぁ」彼は手伝いだなんて言っているけど、私が彼にされているのはそんな生ぬるいものではない。寒いと震えればブランケットをかけてくれて、お茶の時間になったらこはくくんがいれた極上のお茶がいつの間にか目の前にあるし、扉は自動ドアのごとく毎度彼が開けてくれる…などなどエトセトラ。ニキくんはそんなこはくくんを見て「こはくちゃんってばいつの間にそんな世話焼きさんになっちゃったんすかねぇ」なんて本人に言って、案の定「やかましいわ!」とバシバシ叩かれていた。世話焼きの限度を超えているし、至れり尽くせりのこの状況では何もできないダメ人間になってしまいそうだ。本来ならばプロデューサーの私がサポートする立場のはずなんだけどなぁ。…今日も今日とて、甲斐甲斐しく私の世話を焼く彼を見ると、丁度彼もこちらを見たのかパチリと目が合った。「…こはくくん、私って、何もできなさそうに見える?」「いや、そんなことあらへんよ」「そう…」イマイチ納得してない顔をしている私を見て、彼はコッコッコ♪と愉快そうに笑う。「あんな、最近気づいたんやけど、わしは好きな子のお世話焼きたくなるタイプみたいやわ」「え?」せやから、あかん?って少し眉を下げて、小首を傾げるこはくくん。そんな顔してそんな聞き方されたらあかんくないですって言うしかないじゃん!


【りんね・顔がみれないんです!】

明らかに避けられてる気がする。前までは、だいぶ遠くにいる時でも「プロデューサーちゃんじゃねェか」って笑顔で駆け寄ってきてくれていたのに。今は話しかけても「おいメルメル〜」なんて近くにいる人のところにフラッと行ってどこかに消えてしまう。何か不愉快な言動をしたかな?と考えてはみたけれど、情けないことに思い当たるフシは一つもない。ということで、一人で考えていても分からないし原因を彼に直接聞いてみることにしたんだけど…。「燐音くん」「おっと…プロデューサーちゃん」「どこ見てるの」「えぇ?あー…」相変わらずこっちは見てくれないし、いつも飄々としてる彼とは同一人物とは思えないほど口をまごつかせている。本当に、嫌われてるのかも。彼の様子を間近で見てそう思うと、泣きそうになってきた。「私のこと嫌いになった?」「…は」「あまり話してくれなくなったし、避けられてる気がして」「ちょ、いや誤解!」俯いた私の顔を彼は慌てた様子で覗き込んで目を合わせる。私が顔をそらしても、また合わせようと追いかけてくる彼に、文句の一つでも言ってやろうと私が口を開くよりも先に、彼が声を上げた。「可愛くなるお前を見るたびに胸が熱くなってどうすればいいか分かんなくなって。この際言うけど俺っちはお前が、」待って!なんて声は彼の耳には届かない。「待つわけねーっしょ」なんて言って口角を上げる。次は私が彼を避けずにはいられないのだろうけど、それを彼が許してくれるはずがないんだよなぁ。


【にき・シェアしたいんです!】

「はいこれ!ドーゾ!」「あ、ありがと〜」…ウーン、体重の増加を感じる。実際問題昨日体重計にのったら体重は増えていた。最近ニキくんが食べ物を分けてくれることが増えた。彼が食べるものはどれも美味しいものばかりだからすごくありがたいんだけど、貰う頻度が彼の食事スピードや量に比例してるから、いかんせん多い。彼はあんなにもスマートだっていうのに私は何でこんなに…と、考えると気が滅入りそうなのでやめておこう。悩んでいるうちに丁度楽屋の前にたどり着いた。ドアノブに手をかけた瞬間ギャー!と騒がしい声が中から響く。そのまま耳を傾けると燐音くんとニキくんが騒いでいるようだった。「燐音くん!僕のおやつ取らないでほしいっす!」「はァ〜?お腹をすかせた可哀想な燐音くんにもちょっと分けてくれたっていいだろ」「ちょっとじゃないでしょ!」「プロデューサーちゃんには頼まれてなくても分けるくせに…シクシク」確かに強請らなくても分けてくれるなぁ、なんて思わず頷く。直後に聞こえてきたのは、落ち着いたニキくんの声だった。「あの子が美味しそうにしてる顔見ると、なんだか胸が満たされるっていうか…2人で美味しいね〜って共有したいと思うようになったんすよね」食べ物あげるなんて自分でも信じられないんすけど!最後にそう付け加えると、また何かを食べているであろう音が聞こえた。「お前ニキ、それ」言語化できない程絶句している燐音くんの声がかすかに聞こえる。…どんな顔して扉を開けたらいいの!


【ひめる・隣にいたいんです!】

「HiMERUはんって、いつもプロデューサーはんの隣におるよなぁ」こはくくんにそう言われてぽかんとする私。ふっと周りを見渡すとこはくくんの発言に食べ物を咀嚼しながら頷くニキくんと「メルメルは何するときもプロデューサーちゃんの隣確保してるよなァ」と心底面白そうに発言する燐音くん。「ふふ、そうでしょうか?天城は後で殺します」なんてHiMERUくんはニコニコしながら返していた。燐音くんへの当たりがすごいのは相変わらずである。思い返してみると、確かに隣にはいつも彼がいた気がする。そして今日も、当たり前みたいにして私の隣に彼がいる。意識すると途端に照れくさくなって、ほんの少しだけ横にずれようとした。…のだけれど、緩やかに私の腰にまわった彼の手にグッと動きを静止された。近くでふわりと香った彼のにおいに頭がグツグツと沸騰する。「ひ、ひめるくん」「なんでしょう?」「手が」「はい、貴女がいきなり横にずれたので体制でも崩したのかと思いまして」「いやその、近すぎると不愉快かなって思って…」言い訳にしては稚拙すぎるけど、意外にも彼はあぁ…と考えるような仕草を見せた。「そうですね、HiMERUは好き好んで誰かと行動したりしませんが…あなたとはむしろ一緒に居たいと思うのです」おかしいでしょうか?なんて言って頬をほんの少し緩めて私を見る。「わしら何見せられてるん?」呆れたように言ったこはくくんの言葉をBGMに、私はフルフルと顔を横に振ることしか出来なかった。


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