08

あれから数日後、龍也さんが先日会わせたいと言っていた子を連れてきた。全部で8人、皆同じ制服を着ていた


「俺、一十木音也!!」

「聖川真斗だ」

「四ノ宮那月です」

「一ノ瀬トキヤと申します」

「神宮寺レン、レディ覚えていてね」

「俺は来栖翔!!」

「なっ、七海春歌ですっ」

「渋谷友千佳!」



早乙女学園の生徒、有志の子達だが覚えれる気がしない。けれど優秀者ばかりなのだから、卒業してから活動が始まれば私なんてすぐに追い抜かれてしまうのだろう。若い勢力達に少し恐れた。そこから8人はスタジオの見学等をするようで、自己紹介だけの会話でお別れをした




あの中にいた彼…どこかで見たことあるような気がする。それはただ思い出せないのか、それとも思い出したくないと鍵を閉めているのかわからない


ただ嫌な予感だけが駆け巡る、こういう時のいやな予感というものは大概当たってしまう。事務所の中を一人歩いていると唐突に声をかけられる



「もしかしてなまえかい?」

「...そうだけど」

「その表情、随分と変わったみたいだね」


やはり彼は知り合いだったようだ



「大丈夫、俺は過去を周りに言いふらしたりしないよ」





―なまえがまた俺に抱かれるならね




近寄って耳元で囁かれるその言葉に背筋がゾッとした





あぁ、何処に行っても私は過去の私のままなんだ。一生家を憎みながら、自分を憎みながら、また同じことを繰り返して生きていかなければならないんだ。やっと前を向いて歩けると思ったのに




頭に思い浮かぶのはあの人だけ...どうか、どうか嫌われませんように。いや、嫌われても仕方ない、それだけ私は汚い人間なんだもの

胸が何本もの針が刺さるように痛んだ。けれどその針を抜いてやる資格なんてきっと私にはないんだ