06
連れてこられた場所は綺麗なバラの咲き誇るガーデンだった。可愛らしい細工のされたティーカップに色とりどりのコースター、動物や植物に模られた焼き菓子、全てが私好みでテンションが上がる
「では、私はもう少し用意があるのでここで待っていてください」
「うん待ってるね!つまみ食いなんてしないから!」
そう言うと苦笑いされトキヤはこの場から離れていった。きっとつまみ食いすると思ってるんだろうなあの顔は...全くもってその通り!一つ食べちゃおう!
「それにしてもすごいな...」
「あぁ、お前の為に作ったのだからな」
「わっ、真斗!!」
「久しぶりだなアリス」
「う、うん久しぶり」
アリスとはどんな人なのかわからないが、取り敢えずいつもの自分らしく振る舞う。トキヤから何も不思議がられていないのを見ると、アリスもこんな人なのかと思う
「アリス、お茶の前に少しいいか?」
「うん」
真斗が持っていた箱には可愛らしいリボンのついた水色のパンプスが入っていた。勧められるがままに履いてみるとサイズはピッタリだった。クッションも柔らかくて、踵やつま先も痛くないし、これならいくら歩いても靴擦れしなさそうだ
「気に入ってくれただろうか?」
「すっごく気に入った!!これ私に...?」
「そうだ、俺にはこんなことくらいしかしてやれんからな...」
寂しげに笑う真斗の表情が気になったが、本物のアリスなら話がわかるだろうけど私では理解できないことかもしれない、だから深くはつっこまないことにした
「二人とも、用意できましたよ」
いつの間にか戻ってきたトキヤに声をかけられ、お茶会の始まりだ
―「今日はお弁当作れなかったし、メロンパン買いに行こう」
校内にある購買まで歩いていると見慣れた後姿に声をかける
「真斗くん」
「なまえか、どうした?」
「これからメロンパン買いに行くの」
「俺もだ、良ければ一緒に行かないか」
「喜んでー!」
後姿を見つけたときからなんとなくわかっていたけど、やっぱりメロンパン買うのね...きっと牛乳もだろうと思っていたら、案の定買っていた
「やはり牛乳も一緒でないとな!」
その笑顔にキュンとしてしまった私は何も言えなかった