05
かなりダッシュで走ったせいか、足が疲れた。途方に暮れトボトボと歩いているとまたまた前から見慣れた顔が歩いてくる
「今度はトキヤ...」
「おや、貴方は...!!」
私の顔を見るなりもの凄く嬉しそうに微笑んで手をぎゅっと握られる。何が何だかわからなくて呆然と立ち尽くしていると彼はハッとしたように手を離してくれた
「アリス...戻ってきたのですね」
「トキヤまで...私はアリスじゃなくてなまえだってば!」
「なまえ...?何を言っているのですか、貴方がなまえ王女なわけがないでしょう。貴方は正真正銘のアリスです」
この世界にはもうなまえさんという人がいるんだろうか、どうせ夢なんだ、それなら私はアリスになってやろうじゃないか
「はい、アリス...です」
と言うとトキヤの表情はもっと明るくなって、手を引いてどこかに連れていかれる「貴方の為の帽子ができたんですよ」と。トキヤが持ってきたのは、水色の布地に黒いレースのリボン、小さなハットにはピンがついていて今着ている水色のワンピースにとても良く似合っている
「うわぁ、可愛いっ!!」
「ありがとうございます」
お礼を言えば嬉しそうに笑うので、何故か私まで嬉しくなった
「ではお茶会でもしましょうか」
次はどこへ行くのだろうか
―「なまえ!!あれほど廊下は走るなと...!!」
廊下に正座させられ説教タイムなう。床は固いし冷たいし拷問です。なんで私ばっかり、追いかけてきたなっちゃんのせいだもん...
「私悪くない」
「人にぶつかっておいてその態度はなんですか」
「じゃあトキヤは私がなっちゃんに抱かれてもいいっていうのっ!?あーんなことやこーんなことされちゃっても関係ないって思ってるの!?」
「すみませんでした、全力で逃げて下さい」
どういう想像をしたのか、両手で顔を覆う隙間から見えたトキヤの頬は真っ赤に染まっていた
あれ、私変なこと言ったかなぁ...