(5歳の君へ!の続編)

家に着いた私は、蔵ノ介をベッドに寝かせてからリビングに行ってご飯の準備を始めた。今日は両親がいない日で良かった……。
ちょうどご飯が出来上がって、蔵ノ介を起こしに行こうかなぁと思った矢先に悲鳴にも似た泣き声のようなものが聞こえてきて、慌てて部屋に入るとやっぱり蔵ノ介がベッドの上で泣いていた。

『蔵ノ介、どうしたの?』
「うぇ…なまえー…」

両手をこっちに向かって挙げて抱っこを催促するから、そのまま抱き上げてあげるとぎゅっとしがみついてきた。

『ほら、大丈夫。ご飯出来たから下行こっか』

ぽんぽんと背中を叩きながらそう言うと腕の中で小さく頷いたので、ゆっくり蔵ノ介を抱いたまま部屋からリビングへ移動する。
椅子に座らせて、ご飯を並べ終わる頃には半ベソ位になっていたからいただきますをさせると黙って食べ始めた。

『ねぇ、蔵ノ介はなんで泣いてたの?』

夕飯も終わって、片付けをしながらデザートに出してあげたプリンを嬉しそうに食べる蔵ノ介にさっきの事を聞くと、ちょっぴり眉を下げた。

「めぇさめたらなまえがおらへんかったんやもん…」
『(か、可愛い…!)』
「…な、なんや…?」
『いや…なんでもないよ!お風呂沸かしてあるけど、1人で入れるよね?』
「あたりまえやろ!ちぢんだからってこどもあつかいせんといて!」

ごちそうさん、と律儀にキッチン側までプリンが入っていたお皿とスプーンを持ってきてくれてからリビングから出ていった。
……本人は体が小さくなっただけのつもりみたいだけど、泣き虫で甘えん坊になってる辺りかなり中身も小さくなってると思うんだけどなぁ。
プリンだけであんなに幸せそうになる蔵ノ介なんて初めて見たもん。

『さて、さっさと寝ようか?』

私もお風呂に入って上がった頃には9時を回っていて、いつもだったらこんな時間に寝る事なんて無いに等しいんだけど、今日はなんだか疲れたから寝れそうだしこの小さな蔵ノ介ももう眠そうに欠伸をするから寝てしまおう。

「おれまだねむくない…で。9じやなんて…こどもがねるじかんや…ん」
『嘘。今にも寝そうだよ』
「なまえ、」
『なに?』
「おでこにおやすみのちゅうして」
『…いいよ』

さらさらした前髪をちょっとだけ分けて、そっと唇を額にあてる。

『これで良い?』
「ん…、あとな?」
『うん?』
「てぇつないで」
『はいはい、』

電気を消してあたしもベッドの布団に入ってから小さな蔵ノ介の手を握る。

「なまえおやす…み…」
『うん、おやすみ』

若草ピンク
あたしはピンク、あなたは若草のパジャマを纏っておやすみなさい



↓おまけ

『ん…』
「おはようさん」
『ん、おはよう…ってアレ?』
「起きたら戻っとった」
『そ、そうなんだ…良かったね』
「…財前にはたっぷりお礼をしんとあかんな」
『そういえば、小さくなった時の事覚えてる?』
「……」
『覚えてるんだ。甘えん坊な蔵ノ介可愛かったよ?』
「…じゃあ今から俺がなまえを可愛がってやるで」
『え…、ちょ…ちょっと…!や、やめて!どこ触ってんの!』
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