光と年越し直前


◇高校3年生。


「…来年なんて来んでええのに」

「年越しを目前にして今さらなにアホなこと言うとんねん、お前は」

「やって…年明けたら卒業、すぐやんか…」

「せやな。俺ら3年はもう実質1ヶ月も学校行かんでええし」

「…さみしい」

「お前そないに学校好きやったんか。頭よぉないくせして」

「うっさい!…そうやなくて、いや、それもちょっとはあるんやけど、」

「…」

「光と、バラバラになるんが…さみしい…」

「なまえ、」

「ずっと一緒やったやんか。幼稚園の頃からずーっと。腹立つこといっぱいあったけどでも…やっぱ好きやから、ずっと一緒に居たいと思ってた」

「…アホ」

「…っ、あんたほんまに空気とか、」

「『思ってた』ってなんやねん。お前にとって俺はもう過去の男なんか」

「そっ!そんなわけないやろ!」

「そんなら、戻って来たらええやろ。専門学校ちゃんと行って、そこも卒業して。俺んところへ戻って来い」

「ひかる…」

「ま、無事に卒業できたらやけどな」

「……ぜったい、ちゃんと卒業したる」



余所見なんてしないし、させない。




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