花京院と謎だらけの戦友
◇名前変換なし。
「花京院のためなら、死ねるよ」
そんな縁起でもないことを言う彼女に、僕は少しだけ怒った。
「自分のことを第一に考えろ」と。
だけども結局彼女はその言葉を撤回することはなく、ただ「優しいね」と言って笑っていた。
今にして思えば、既にあの時には…もしかするともっと前から、こうなることを予知していたんじゃあないか。
そんな風に思う程、彼女はどこか不思議な人だった。
ハイエロファントグリーンの結界のことを知っていたかのように。
そして、それでDIOの幽波紋能力の正体を暴こうとすることを、前もって知っていたかのように。
彼女はそこへ飛び込んできた。
DIOの真後ろから攻撃を仕掛けた彼女に驚いた次の瞬間には、彼女が逆に吹っ飛んでいた。
それと同時に、結界の一部が一気に切断された。
あまりの出来事に一度身を引いた僕は、ジョースターさんと共に状況から考えられるDIOの能力を導き出すことができた。
次に彼女の傍へと行ってやれたのは、承太郎がDIOとの決着をつけたその後…。
彼女は苦しむ間もなく逝けただろうと、SPW財団の医師は言った。
そうであれば良い。
そうであって欲しい。
承太郎と僕は、医師から見ない方がいいと一度止められたけれど、止められたのはその一度だけ。
眠っているようなその安らかな顔に、ほんの少しだけ安心した。
それでも、触れた肌は冷たく、真っ赤に染まった制服は現実を突き付けてきた。
その後、彼女の遺体を肉親たちへ還すため、SPW財団の情報網を以て懸命な捜索がされたが…彼女の肉親も、正確な戸籍も、国籍も…分からなかったそうだ。
彼女が身に纏っていた制服からも、該当する学校はなく…何一つ彼女に関することは、分からないまま…。
埋葬と葬儀は、ジョースターさんが引き受けてくれた。
アメリカの地にあるお墓には、彼女の名が刻まれているだろう。
…けれど、何故か。
僕らの記憶から、段々と彼女の記憶が消えてゆく。
「…僕のために死ぬよりも…僕と一緒に生きて欲しかったよ、」
声も、顔も、名前さえも…薄れてゆく。
動いた唇はその名の形さえ思い出せず、固く結ばれた。
こんな想いさえも、やがては消えゆくのか。
僕の内に残った彼女の記憶は、もうあと僅かだ。
一応、なまえさんトリップ設定でした。
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