承太郎の妹はひとつの夢を叶えようとしている
◇名前変換なし。
ガリガリガリガリガリガリ…
「…なにやってんだ、お前」
「なにって…見てのとおりかき氷作ってるの」
「お前はいつも何かしら食ってやがんな」
「むっ!失敬な!しかもまだ食べてないし。削ってるとこだし」
「論点はそこじゃねぇ。…つーか、おれの見間違いでなけりゃあその削った氷を受け止めてるモノがバケツに見えるんだが、合ってるか」
「は?なに、お兄ちゃん…暑くて意識朦朧としてんの?見たまんまバケツだよ」
「そっくりそのままテメーに返すぜ。なんでよりによってバケツだ。衛生面考えろ」
「度重なる失敬だな!新品に決まってるじゃん。ちゃんと洗ったし。あ〜あ、バケツかき氷という子供の頃の夢を忘れた哀れな愚兄だこと!」
「生憎とそんな夢は一度たりとも抱いたことはねぇよ。わざわざバケツ買って洗って狂ったように氷を削るなんて夢はな」
「夢のためには努力を惜しまないのがわたしのいいところ」
「自分で言って恥ずかしくならねぇか?」
「恥ずかしいと思うほどの心を込めていないからヘーキ」
「だろうな。はぁ…無表情になるほど真剣なとこ悪いが、最後にひとつ言っとくぜ。お前が削ってる氷、今出来てる分はそれでラストだ」
「…なん…だと…!?つ、作り始めた頃はたくさんあったのに…?!」
「おれがさっき使った3つで品切れだ」
「なんで!?あれだけの氷を削って、どうしてこのバケツは未だかき氷の山になっていないの…?!まさか…このバケツは水分を吸収する幽波紋…」
「時間がかかった分下の方が溶けてんだろ」
「…え」
かき氷っていうか山盛りのシャーベットみたいななにかを食べた。少しお腹が痛くなった。
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