お寝坊さんな高校生


みなさま、おはよーございます。
みょうじ なまえです。

ただいま、午前7時ジャスト。
わたしは今、承太郎と花京院の泊まる202号室の前にいまーす。

え、さっきからなんでナレーション口調かって?
そりゃあ、二人を起こしに行くってシチュエーションが『寝起きドッキリ』みたいだからですよ。
え?最近ではあまり見ない?

さてさて。

わたしは熟睡していて知らないけれど、実は深夜に幽波紋攻撃があったとかで、承太郎と花京院が珍しくお寝坊さんなのです。

なので、ジョースターさんに頼まれ、わたしみょうじ なまえが二人を起こしに参上仕った。と、いうわけなのですよ!

コンコン

一応ノック。

…よしきた反応なし。

フロントで借りた合鍵を使い、穏便に且つ合法的にロックを解除する。

「入りますよ〜…」

ゆっくり扉を開けて、ゆっくり閉める。

部屋の中はカーテンが閉められていて薄暗い。
けれど、結構夜目が利くわたしにとっては文字通り朝飯前ですな。

コントに出てくる泥棒のように、抜き足差し足忍び足。
そろりそろりとベッドに近づく。

「うぉー…」

なんだこの犯罪臭のするイケメンは。
思わずちょっと声出ちゃったじゃあないか。

最初に覗き込んだのは、我らが承太郎の眠るベッドだった。

いつも学生帽でよく見えないお顔がこんなにもさらけ出されているとは。
うわーうわー、睫毛長いよー。
この人前髪降ろしてたらこんな風なのかー。
なんか犬っぽい!
これ、写真売ったら結構イケるんとちゃうやろか。

あまり舐めまわすように眺めまくると、敏感な承太郎のことだ。
すぐに目を覚ましかねない。

そうなったら花京院の寝顔が拝めなくなってしまう危険性があるので、わたしは心のシャッターを三十回ほど連打したところで、一旦承太郎から離れる。

思わず息を止めていたようで、すはーっと深呼吸。

さあ、今度はキミの番だよベイビー。

くるりと回れ右して、今度は花京院の方へ。

…方へ…。

「オ、オハヨーゴザイマス、カキョーインサン」

「…おはよう」

お、起きてたァああああ!
普通に見られてたああああああァ!

くるりと振り向いたら、ぱちりと目が合った。
もちろん、花京院と。

「なにしてるの、花京院」

「いや、それ僕のセリフなんだが」

「わたしのことはどうでもいい!それよりキミがいつから起きていたのかということの方が問題だよ!」

「なまえさんがドリフの泥棒よろしく歩いているところから、ですかね」

「ほぼ最初っからじゃないか!」

「…うるせぇ」

衝撃の事実に悶えていると、背後から掠れたヤローの声がした。
いや、すみませんそりゃ起きますよね。

大型犬もとい承太郎がお目覚めになられた。

「あ?なんでなまえがここにいやがるんだ」

「なによ!いちゃ悪いっていうの!?」

「…よくはねーんじゃねぇか?」

「僕らを起こしに来てくれたんだろ」

「そう、それ!」

花京院ナイスフォロー!
パジャマの肌蹴具合半端なくて目のやり場に困るけど流石花京院だね。

「なんだその後付けみてぇなノリは」

承太郎うるさい。

「いいからほら!承太郎は着替えて、花京院は二度寝!」

「おい待て」「ちょっと待って」

「なに?みんな待ってるから急いで?」

「急いでじゃねぇよ。おれはともかくなんでこの状況で花京院に二度寝を指定しやがったんだてめーは」

「だってわたし、花京院の寝顔見てないもの」

当然のことを聞いてくるものだから、わたしは当然の切り返しをした。

ら、

「…ハイエロファントグリーン」

「え、ちょ、かきょぉおおいいいいいんッ!!」

ハイエロファントに引きずられ、わたしは部屋の外へ追いやられた。

解せぬ。

翌日から、残念ながら二人がお寝坊さんになることはなかった。

ちゃんちゃん。



end




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