堕ちた
今思えばあの時、間違えてしまったのかもしれない。
小学校高学年の時。友達に何気なく勧められた少年漫画。そこから私はオタクへの道に迷い込んだ。
青春、愛、感動、人生を変えてくれるようなものや自分の青春といっても過言ではない作品がたくさんあった。それなら良い。しかし、私は……
三十歳過ぎても現実が見れなかった。
周りは結婚や出産をして家庭も持っている時期に、私はアニメ、漫画、アニメ…。出会いがなかった訳じゃない。そういう場所にも行った。が、現実を見れない私は誰にも恋愛としての感情を持てずにいた。
結婚=幸せ、という考えではない。好きな仕事をして、生き生きしている人も趣味に人生を注いでいる人もいる。それはとても素晴らしいことで、尊敬する。
しかし、私の夢は早くに好きな人と結婚して幸せな家庭を築くというものだった。
こんな私のことを良いと言ってくれる人がいるのに、それ以上先に進まない自分が嫌になる。
あーあ。この階段から飛び降りたら、光が差してトリップなんて事はないかな。なんて、御参りに来た神社の長い長い石段を見て思う。
その瞬間、本当に足がもつれて落ちた。
頭に激痛が走り、何かが流れる。それが自分の血だと気付く前に意識が遠のいていく。
「ごめん、みんな。トリップ、して、く……る……」
こんなに大量の血を流したのは初めてで、恐怖と痛みから自分の願望が口から出た。
目が覚めると、病院の天井。ではなく、私より若い男女の顔がドアップで目の前にあった。近いなぁ。幸せそうな笑みをする男女に疑問を持ち、声を出す。
「ーぁ…うあー」
………え?
「喋った……!どうしたんでちゅか〜?」
「このおもちゃが欲しいのかしら?」
「あー……うー」
喋れない。伸ばした手は赤子のように小さく。
私、死んだの……?
それで赤ちゃんとして生き返ったの?いや、前世の記憶があるみたいな?
えーっと、早くない???
そうして私の第二の人生は始まった。