ビートくん


前を歩くビートくんを見つめながら、綿雪のようなその髪に触れてみたいと思った。
直毛で量が多い私の髪と違って、きっとふわふわなんだろうな。猫っ毛って言うんだっけ。
「なにをにやにやしているんですか。酷い顔ですよ。」
私のそんな思いを感じ取ったのか、眉間にシワを寄せたビートくんがくるりと振り返る。
君の事を考えていたんだよ、とは言えず別に、と視線を逸らした。
お腹空いてきたね。
食いしん坊ですか。
育ち盛りだし、いいじゃない。
そんな話をしながら、隣に並んで歩いていく。