ぼくのともだち[2/2]


 



「…お前さんのせいで怒られちまっただろうが相棒…」

「私は貴方の相棒になった記憶はございません」

「否定するのはそこか」


鉄球にさえ否定される小生の友情。

いやそもそも鉄球に友情を求めるほど人に飢えた小生が間違っている。

迷惑にならぬよう足で引き寄せた間近の鉄球にぼそぼそ囁く小生の姿はどう見ても奇妙にしかうつらないだろう。


「鉄球の癖に生意気だな。まぁだからこそ忌々しいんだがなぁ」

「まだ鉄球だと思ってるんですか。聞きしにまさる御方ですね」


ばっと突然明かりが灯され目を焼いたが、小生はそれでも目を見張るしかなかった。


「は?」

「私は忍です」


暗闇に浮かび上がったものを光に眩む目がしっかりととらえる。

鼻先同士が掠れる場所に、光以上に目を眩ます美貌の顔が浮かび上がっていた。

ふっくらとした薄紅色の唇と精悍さと茫様然とした造りが共存した女好みしそうな目鼻立ち。

そして若干悪そうな肌色と過呼吸気味な息遣い。

向かい合って共に横になった覚えなどまるでない不審な男の顔だけが、鉄球のど真ん中から生えていた。


「ぎ」

「騒がないでください!」


みぞおちに骨を軋ませる重い一撃がめり込んで叫びを強制停止させられ、小生は激痛にも言葉を発することなくもがき苦しむはめになった。

鉄球から違和感丸出しに生えたすらりとした足が、鉄球を抱いた小生の股の間から膝蹴りを放ち、息の根を止めるようにぐりぐりと胸を圧迫しているのだ。


「また怒られます!」

「…ぎ……ぐ……」


きりっとした顔が憎たらしくてたまらないが、痛みには勝てない。

さらには気も遠くなる。

辛うじて残った意識の端で、小生を狙った理由を考える。

やはり極秘裏に天下を狙う小生を潰さんと忍が放たれたのだろうか。


「ご安心下さい官兵衛様、私めが迫り来るご不幸より官兵衛様の御命を御守りいたします!」

「なん…じゃ………」


現状と矛盾する発言を聞きながら小生は意識を闇に落とした。






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