ヒドロビウスの遺灰

▽2019/03/13(19:57)

自分が積み重ねてきたものから虚勢とプライドまでもを喪うのもわがままに大英雄を付き合わせてしまうのも恐ろしくてくたびれた声色で「ねえ、無辜の民と私、片方しか選べないなら、どちらを救ってくれる?」と酷く強欲なことを聞けば「…民を救いお前と死のう」って返ってきて、ようやく薄波はわらった。こんなことにまで巻きこんだあげく大英雄たるアーラシュがアーラシュではなくなってしまうことが恐ろしくて、それでも自分ごときに情をおぼえてくれたことが嬉しかった。カマンガーは春菊よりも薄波に甘い。薄波は過去にもいまにも未来にも救いがなくそのすべてから守るために己が存在しているわけだが、それでも情の籠る指先が、ときにおそろしいほどやさしくなる。ゆえに薄波は優しいカマンガーは恋をするけど、薄波は魔術師に縁のある家系らしく非道な育ちをしてきたから、それが恋だとはわからなかった。あくまで己達がおこなうのは聖杯戦争なのに、不要な感情が増えすぎてしまったことが、本当はこわかった。

ifラシュ春


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