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閉ざされた世界で幸せ

※ここからはサイドストーリーで、本編では五色の彼女(妻)だった女の子が夢主の話です。
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 恥ずかしいことに、ナマエが五色を好きになったきっかけはクラスのみんなが知っていた。でも、本当にこの人を好きだと思ったきっかけは、きっと誰も知らない。思いもしないだろう。それはナマエが、ごめん、と振られた時だった。
 ナマエの告白を断った五色は苦しそうに顔を歪めていたが、痛いくらいに真っ直ぐこちらを見て言ったのだった。
「俺、好きな人がいるから」
 それはナマエのためか、それとも、好きだと言うその人のためか。告白を断る理由なんて、適当に誤魔化すこともできただろうに、どんなに自分が傷ついても正直に言わずにはいられなかったのだろう。そんな五色が素敵だと思った。同時にそのみっともなくも見える愚直さが愛おしいとも思った。
「分かったよ。ありがとう」
「なんで、礼を言うんだよ」
「なんでだろうね……」
 ぎこちなく笑い、不思議と涙は出てこなかった。