4−3



沖田くんの質問は、あまりにも今の私を的確に突いてきて。
何か返さないと、と思うのだけれど喉がカラカラに渇いて声が出ない。
私を見る沖田くんは真剣で。
ただ私の言葉を待っていた。

どれくらい見つめ合ったか分からない。
何も言わず立ち尽くす私に、沖田くんは「場所を変えようか」と言い、手を引いた。
引かれるままについていくと、そこは沖田くんの部屋の前の縁側で。
沖田くんは静かに腰掛けると、自分のすぐ横の床を叩き、私に座るよう促す。
私はそれに従う。
前を向けば遠くに茜色の空が広がっていた。

「最初はね、君の振る舞いが作られたものだ、なんていう確信はなかった」

そう沖田くんは告げる。
意味の分からない私は、首を傾げる。

「でもね。今は自信持って言えるよ。…君は何か怖がっているって」
「何でですか…?」

自分は彼に確信を与える行動をしたのだろうか?

「一昨日ぐらいかなぁ…?君が猫と話しているのを見たんだ」

あぁ、それで。
私はその猫と出会った時のことを思い出す。


〜・〜・〜


中庭で洗濯物を干していると、どこからか草木が揺れる音がした。
不審に思って茂みに近づいてみると……白い猫が顔を出した。

「可愛い……」

私は思わずしゃがみこみ、目線を合わせる。
どこからか迷いこんできたのだろう。
猫の瞳は少しの不安に揺れているように見えた。

「一人なの?」

気が付けば話かけていた。
猫は私を見上げてくる。
その瞳に――何故か私は自分を重ねた。

「…俺と一緒だね」

そう言って手を差し出せば、「にゃあ」と鳴いてすりよってくる。
そんな姿に不意に涙が込み上げてくる。

「簡単に…なついちゃだめだよ」

声が擦れる。

「信用してはだめ」
「全てを預けてはだめ」

地面に染みが出来る。
猫は再び鳴くと、どこかに去ってしまった。

――これ以上、近づいたら駄目だ。

この言葉だけが、頭を駆け回っていた。

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