4−4



「僕は少し悲しかった。こんな事言えた立場じゃないけど…君が僕らを拒絶してるみたいで」
「そんなこと!!!」

そう話す沖田くんは少し寂しげで。
私は慌てて言葉を繋ぐ。

「うん、無いよね?」

彼はにっこり笑い私の言葉を奪った。
何も言えずに目を反らすと、彼は優しい声音で言う。

「僕は、君の事が知りたい」

だから話してよ。
そう呟くと沖田くんは前を向く。
私を見ないように。
その彼の優しさに感謝しながら……私は口を開いた。


〜・〜・〜


「俺は幼少の頃の記憶がありま……無いんだ」

いつもの癖で敬語が入りそうになる。
一瞬迷ったが、やめた。
沖田くんはこれがわざとだと気付いてる。
ならばもう必要は無いし…私自身の言葉で話したかった。
沖田くんは何も言わず聞いてくれる。

私の一番古い記憶。
涙を流す両親。
後悔と怒りを露にする父親。
何かから逃げるように暮らしていたこと。
自分は何も教えてもらえなかったこと。

……さすがに自分の性別の事は言わなかった。

「優しくて…仲が良くて…っ」

――大好きだった両親。
父上の大きな手で頭を撫でられるのが好きだった。
母上に昔話を読んでもらうのが好きだった。

一度思い出せば思い出は溢れでてきて。
頬を熱いものが伝う。

「でも…っ、ここに来る前に!」

そう言って言葉を詰まらせた私を、沖田くんはただ待ってくれていた。
私は深く息を吸い込む。
それをゆっくり吐くと、少し落ち着いた気がした。
数回繰り返した後には、嗚咽も収まった。
そして私は静かに両親の最期を口にした。


「殺されたんだ。刀で斬られて…首を刎ねられて」


そう告げると、沖田くんがこちらを向いた。

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