【報告書:2018年1月18日
廻神理玖特級術師が呪術連総監部所属14名を惨殺。五条悟特級術師、夏油傑特級術師、伏黒甚爾非常勤講師が謁見の間で意識不明の廻神理玖特級術師を発見。残された残穢から廻神理玖特級術師が呪術連総監部14名を殺害したことが判明。即時拘束した。呪術連総監部後継者として御三家筆頭、五条悟特級術師、禪院直毘人特別1級術師、加茂憲紀準1級術師が後任として就任。廻神理玖特級術師においては、呪術規定に基づき呪詛師として処刑対象とする。現在意識不明の為、意識が回復後事情聴取、その後処刑執行とする。また、廻神理玖特級術師は両面宿儺の指(副右腕薬指、左腕親指)を所持。回収後忌庫に封印した。同様に廻神理玖特級術師が使用していた特級呪具『倶利伽羅 不動明王の十手』も没収し、高専武器庫で管理とする。】
「……廻神理玖特級術師…、呪術連総監部惨殺により、呪術規定に基づいて…君を処刑する。」
僕の言葉に、理玖は僕に笑みを返した。なんで笑ってられるんだよ。折角僕達が、理玖を巻き込まないようにこっそり上を始末しようとしてたのに…、
「誰が私を殺してくれるの?」
「理玖、」
「そのつもりで殺したんだから、覚悟はしてたよ。」
「何で笑えるわけ?」
「…ごめん、でも、やっぱり私はイレギュラーだし、これもさだめ「僕達がどんな気持ちで!」
「悟!」
「…ごめん、今さ、呪術連総監部に就いてるのって誰?」
「…御三家筆頭だ。」
「おお、なら良かった。」
良い訳ないだろ。
「うちの親も荒井さんの家族も無事なんだよね?」
「…ああ…。私達が手を回して、皆海外にいるよ。」
「じゃあ上に狙われることはもうないんだ、良かった。」
「良くない。」
「腐ったミカンはもういないんだから、あとはしっかり後進育ててね。それと、皆は長生きしてね。」
嘘つき。じじばばになるまで長生きしようって言ったのは理玖のくせに…!
「あとは、そうだな、死ぬ前に皆と話がしたい。」
「…残念だけど、それは出来ない。保守派から誰も理玖に会わせるなと言われている。」
「マジ?じゃあ挨拶もなしに死ぬって事?えぇ…それは、うーん…じゃあせめて手紙書くとかは?」
「それもダメだ。」
「ケチだなぁ…保守派も殺しておくべきだったか。」
「理玖…っ!」
僕は理玖の手首を握りしめた。理玖が痛みに顔を顰める。
「理玖は…僕が殺す。」
「…そっか、悟が殺してくれるなら確実だね。でも、悟に辛い思いさせるのは嫌だな…。」
今だって既に辛いよ。
「こんな事なら誰か選んどけばよかったなぁ…。でも皆大好きだし、愛してる。だから誰も選べなかった…ごめんね。」
「何言ってんの?」
「どこで殺す?今ここで殺す?うわ、怖いな、嫌でも1回死んでるようなものだし、2回目も変わんないのか?」
「理玖…、」
今まで冷静だった傑が聞いたことないような低い声で理玖の名前を呼んだ。理玖がピクリと笑みを固める。
「…私達を選ばなかったことも、私達を頼らなかったことも、1人で何もかも背負った事も、全部私達は許さないよ。それこそずっと私達は理玖を呪ってる。愛してる。だから、私達は理玖に死んでほしくなかったから、」
「…うん、知ってる…。ホントにごめん。でもさ、大丈夫。私を誰だと思ってるの?神の子!廻神理玖様だよ!?」
「いい加減にしろよ。」
「…ごめんね、うん、何回謝っても済む話じゃないけど、ごめん。私はさ、ほらなんて言うか、全部知ってるからこそ自分に出来ることをって一生懸命で、周りが見えなくなってて…だから、ごめん、皆を幸せにするどころか結果的に辛い思いさせちゃったな…。うわー…どうしよう、まだやるべきこと沢山残ってたのに…。……え…マジ?……あ、マジかぁ…。」
「1人で何ぶつぶつ言ってやがる。」
「…いや、うん、大丈夫。」
僕はグッと自分の手を握りしめた。
「理玖、」
「ん?」
僕は6歳からずっと理玖と一緒だった。ずっとずっと愛してた。僕の世界に色を付けてくれた理玖。僕の大事な人。僕を愛してくれた人。愛することを教えてくれた人。僕はずっと理玖に言いたいことがあった。僕と出逢ってくれて、愛してくれて、
「—————。」
僕の言葉に、理玖はいつもの僕が好きだった笑顔を浮かべた。
「最期くらい呪いの言葉を吐けよ、」
バシュ、
...
「———さん、廻神さん!!」
「ふぁいっ!?」
「やっと起きた!バグありましたか?!」
「…え、バグ?」
目を覚ますと私は見覚えのあるオフィスにいた。…あれ、私なんでここに、
『—————。』
さっと自分の手を首に添える。…あれ、なんともない。ていうか、この格好、普通の格好じゃん。え、なんか社員証首からかけてる…。…制作チーム…?
「え、私何してたっけ。」
「はぁ!?廻神さん頭おかしい人だとは思ってましたけど、遂に自分の事までわかんなくなったんですね。」
「え、辛辣すぎじゃね?ちょ、待って、あー…記憶が混乱してて、」
「はぁ…全く。いいですか?今私達は『呪術廻戦』のVRゲーム作ってます。」
「マ?」
「マ?じゃないですから。理玖さん試作プレイのバグチェック中でした!」
「マジかぁ…因みに、ゲームタイトルは?」
「『呪術廻戦−選択と宣託−』です。つか、マジでド忘れしてるんですね。はぁ…、それで、バグありましたか?まさかバグチェックサボって寝てたなんて言わないですよね?」
「………いや、うん、そんな事ないかなぁ?」
「めっちゃ目泳いでますけど。」
「気のせいじゃね?」
「はぁ…引き続きチェックお願いします。自分は仮眠とるんで、起こさないでくださいね。」
「うい〜。」
………いや、あの人誰だっけ。
「ん〜…!ヤバ、めっちゃ肩バッキバキだし腰くそ痛いわ…。てか何?私ゲーム会社で働いてたっけ?マジ?ド忘れしてたわ。……そっか、呪術廻戦VRゲーム化するって決まって担当に決まってめちゃくちゃ張り切ってたんだっけ。しかも乙女ゲームだもんなぁ…最初笑っちゃったよ…。」
私は欠伸をしながらVRゴーグルを付け直した。えーっと、最後なんかセレクトしたっけ?んー…あ、そうだそうだ、なんかセレクトしたわ。お、VRついた。
【不明なエラーが発生しました。】
「んお?マジ?これもバグかな?」
私はゴーグルを外して、
「…あれ?」
「…は…?」
「…え、ちょ、ン?どゆこと…?」
目を開けると高専の医務室にいた。ん?え?私死んだよね?しかもあの三銃士が私の周りでベッドに伏せて泣いていた。え、なにこれどういう状況?硝子も煙草逆だよ?リ〇リサ先生かな?私はシ〇ザーか?
「悟…、」
「いや、僕は確かに呪力を込めて、」
「理玖、どういう事だ?」
「いやぁ、ちょっと自分にもわかんないっスね。え、ちょ、リセットボタン、あれ、てかゴーグル無くなってる。」
「なんだい?リセットボタン?」
「ゴーグルってなに?そんなの普段使ってないでしょ?」
あっれぇ…?ちょっと待ってよく分かんない!確かに私はさっき死んだと思ったんだけど…?てか、死んだと思ったらなんか前世?いや、前世なのか現世なのかよく分かんないけど、元々の廻神理玖が働いてたゲーム制作会社でゲーム作ってて、バグチェックの試作プレイ中で、ン?!?ドユコト!?待って、試作プレイで死んだと思ったら、元の世界にいて、それでもっかいバグチェックしようとVRゴーグルつけたら呪術廻戦の世界に戻って来てた…んだけど。ンェ?!え?結局これ私死んだの?どうなの?生きてるよね!?
「まさかまだゲームの中…?いやでもゴーグルの感触ないし普通に夢?ゲームしすぎて脳が錯覚した?え?マジ?ちょっと誰か私のほっぺ摘まいでででででで!!!」
「理玖!!!!」
「私達の涙を返せ!!」
「俺は泣いてねぇからな!!」
「煙草返せ。」
悟と傑とパパ黒と硝子が私の頬をこれでもかとぎゅうぎゅう摘まんだ。いってええええええええええ!!!マジでくそ痛いし4人とも力加減容赦なさ過ぎじゃん!!!!!
「まっ、ひょ、はんま!」
「聞こえねぇな。」
「聞こえないね。」
「聞こえませーん。」
「聞こえない。」
「いひゃあああい!」
「…っ、理玖!」
「うおっ、も、」
「理玖!!」
「理玖、」
「理玖…、」
「潰れる…大の大人4人は…無理…っ、」
「僕達を泣かせた罪はこれより重いの!!!!」
「存分に潰れるといいよ。」
「プチっと逝け。」
「プチっとはあかんやつや…!」
なんかよく分からんけど私は1回死んだらしい?え、これ死んだって事でいいんだよね?
「これも神の子効果って奴なの?」
「え、知らん。寧ろ私が聞きたいんだけど…?」
「最期に術式を使ったりした?そんな気配は見えなかったけど。」
「…いや、どう、え、使ったのかな?え?覚えてない。ちょっとっ待ってね、私これどうなる?また殺される?」
「…いや、僕は確実に理玖を殺したし、傑も伏黒のオッサンも硝子も見てた。」
「ああ、私達は確かに悟の呪力で理玖の首から血が噴き出たのを「いや怖い怖い怖い怖い、」
「ベッド血塗れだろうが。」
「嘘マジか!?うわマジじゃん!?」
私は慌ててベッドから飛び起きた。枕元は確かにびっしょり血塗れだ。
「…え、これ、え、ダイジョブなの?」
「寧ろこれが証拠になるでしょ。」
「理玖のDNAと照らし合わせれば本人だと証明できるだろうね。それより理玖、」
「何?」
「興味深いから解剖させてよ。」
「私生きてるよ硝子ちゃん!?」
「はぁああああ…よかった…理玖が生きてて…。」
「…悟ごめんね、辛い選択させた。」
「…僕の事選んでくれるなら許してあげる。」
「ンぅそう来たかぁ…!」
「理玖、私を選ばないと私が呪霊を取り込む度に味わっている理玖のピーーーやピーーーの味を皆に広めるよ。」
「それは無茶苦茶嫌だ。」
「おい、俺と結婚するって散々抜かしてたくせに他の男選んだら殺すぞ。」
「死刑判決出ちゃった。」
「理玖、」
「硝子ちゃんまで怖い事言うのなしね?」
「私を選べ、さもなくば解剖だ。」
「はい怖いことキター!」
両手で頭を抱えた私を見て、4人は次第に笑い出す。私も笑った。やっぱり皆大好きだ、愛してる。
「おかえり、理玖。」
「おかえり。」
「理玖、」
「おかえり。」
「…ただいま!カッコ2回目!カッコ閉じ!」
「さてと、理玖は一先ず死んだって上に報告するから。」
「それがいいだろうね。私達4人だけの秘密にしておこう。」
「どこで飼う。」
「待って、解剖が先。」
「うん、感動の再会を返してくれるかな?」
...
「廻神さーん?…あれ?廻神さん?…ったく、どこ行ったんだあの人。」
「お疲れ様でーす。」
「あ、お疲れ様です。廻神さん見ませんでした?」
「え?廻神さん?……あれ?」
「……ン?あれ?」
「…あれ、今、え?なんか僕に聞きました?」
「え?…あ、そう言えばなんか聞いたような?あれ?なに聞いたんだっけ…?」
「…あれ、…なんでゴーグルこんな所に…ここのデスク、誰が使ってましたっけ?」
「え…ずっと空きデスクでしたよね?」