動物園デートも順調に進んでお昼も近付いた頃、私と悟はフードコートに来ていた。勿論手は繋いだままだ。もう悟が可愛いのなんの…。私の心臓は悟の可愛さにトキメキまくって忙しい。ン゛ン゛…このままでは心臓が過労死しそう…!てか過労死するわ!何だこの幸せなトキメキブラック企業は…!死者続出すんぞ!?こんなん労働基準もクソもねえな!フードコートのメニューを眺めながら、2人で何を食べるか頭を悩ませる。
「んー、デザートも食べたいし、ご飯ものを2人で半分こにしよっか?」
「ん。」
「何がいい?デザートは勿論ソフトクリームでしょ?」
「好きなの選べよ。」
「え、いいの?じゃあね…ミートスパかな。取り分けやすいし。」
「じゃそれ。」
まずはミートスパを購入。空いてる席に2人で並んで座る。何故並んだかと言うと、悟が私の隣に椅子をガガガと運んで座ったから。ホント…なんなのこの子…推せるわぁ…。
「あれ?悟のフォークは?」
「いらね。」
「1本で食べんの?」
「1本ありゃ足りんだろ。」
「わーお、間接チュー。」
「フン。」
もう間接キスは恥ずかしくないらしい。ちぇっ!でも積極的になってきた悟に私は頭を悩ませる。ショタだからまだいいけど、これ成長したら自爆しないか?大丈夫か?私のハートもつかな?死なない?やっぱり心臓が過労死しそうな気がする…。
「食わねえの?」
「あ、先食べていいよ。」
「…。」
悟がミートスパを器用にプラスチックフォークで絡めて食べるのを見ながら、一緒に買ったカルピスを飲む。さてさて、この後はどうしたものか?さすがに小学生の足でこんな広い動物園の中を歩き回ったらさすがに疲れてきたなぁ。ストローでカルピスの白い海に浮かぶ氷の浮島をつつきながら、今日の予定を頭で練り直す。動物園を15時までぶらつくとして、それから帰宅すれば夕飯の時間も近いし桃鉄は明日か?それとも徹夜でするか?
「この後どうする?お土産コーナー見る?」
「なんか欲しいのあるなら。」
「んー、お父さんとお母さんにお土産買いたいな。あと初デート記念になんかお揃いで買っちゃう?」
「…デート…、」
おぉ!ショタ五条の口からデート頂きました!!ミートスパとフォークを受け取って私も一口。うん、さすが安定のミートスパ。うまい。
「…これ、デートなの?」
「あれ?違うの?デートだから運転手さん置いて2人で来たのかと思ってたけど?」
「…そ、そうだよ。」
照れ隠しにコーラを飲む悟の好感度が88%に上がった。これ100%になったらどうなるんだろ。てか、私にメロリンな悟とかイメージできねー。多分可愛すぎてハゲるしゲロるし下手すりゃ死ぬ気がする。ミートスパを2人で食べ終わると、今度はソフトクリームを1つ買った。これもまた半分こだ。折角なので悟にあーんをしてみる。お、口開けた!ちっちゃくて並びのいい歯が見えて可愛さに胸がキュンとする。悟が私の手からスプーンを奪うと、今度は私にあーんをさせたいらしい。ソフトクリームの乗ったスプーンが私に近付いてきた。はぁ…マジ…可愛すぎてなんかブチ切れそう。口を開けてソフトクリームを食べると、口の中にバニラの風味と冷たさが広がる。
「んー、おいひー!食後のソフトクリーム程美味いものは無いと思う…。」
「そうだな。」
食事を終えるとお土産屋さんに向かう。両親へお菓子の土産を選び、ふと目に入ったパンダのぬいぐるみを手に取ると、悟が私の手からパンダとお菓子を取り上げた。そのままレジに持って行く背中を見ながら、私は両手で頭を抱えて天を仰いだ。ひゃだ…イイオトコ…!悟が会計をしている間に私は周りを見渡した。なんかいいのないかな。…お、コレいいんじゃない?!私はそれを2人分手に取って悟の後に並ぶ。
「…なにやってんの?」
「記念に買ったから2人で一緒に付けようよ!」
「…キーホルダー?」
「うん!」
見つけたのはパンダのキーホルダー。会計を済ませると悟に片方差し出した。キーホルダーを受け取った悟の好感度が90%になる。おお、もうすぐ100%じゃん!
「悟も私に色々買ってくれたから、お返しにあげる!」
「…あり、がと…。」
「さてと、次はどうしよっか?」
「…オマエん家帰ろうぜ。」
「おっけー、じゃあ運転手さんと合流しないとね!車かな?」
「ああ。」
土産屋さんを出た所でふと視線を感じた。…誰だろ。悟も気付いたらしい。私の手を掴む手に力が籠る。…もしかして悟を狙ってる刺客とか?とりあえず、ここじゃ人が多いからすぐには手を出して来ないと思うし、悟が私ごと無限張ってるから心配する事はないだろう。…でも、折角の悟とのキャッキャウフフの動物園デートを、よお分からん刺客のせいで台無しにされたくない。ここは私が一肌脱ぐとしよう!セレクト。
【何者かが五条悟を狙っています。選択してください。選択すると呪力を50消費します。(残り呪力:60)】
【1.招待を暴く 2.気絶させる 3.殺す 4.なにもしない】
ふむ、今回はそこそこリスクがあるらしい。招待を暴いた所でって話なんだけど、流石に殺すのはやり過ぎか?なにもしないという選択はまずありえない。とすればちょっとおネンネしてもらおうかね。2。
【2.気絶させる を選択しました。呪力を50消費しました。(残り呪力:10)】
突如前方のベンチから前のめりに倒れた男。とすると、この男が刺客か。悟が目を見開いて私を見ていた。
「あ、ごめん、さすがにここで殺すのはなって思ったから気絶させておいた。アイツどうする?」
「理玖の術式…ホントよくわかんねえ。」
「アハハ、私もまだよく分かってないよ。でも使い方によっては便利なんだと思う。まだ慣れてないから使うタイミングさえ間違えないようにしないとねー。」
「…アイツ、呪詛師だ。」
「マジ?リアル呪詛師初めて見たわ。アイツ悟狙ってたよね。調子乗んなよマジで。邪魔すんなっての。」
突然倒れた男に近くを通り掛かった飼育員が気付いたらしい。男は飼育員に任せて、私達は出口に向けて歩き出す。運転手さんは出入口でずっと待っていたらしい。私達に気付くと駆け寄って来た。
「お荷物お持ちします。」
「あ、ありがとうございます!パンダはこのまま持って行きたいのでコレだけお願いします!」
悟からパンダのぬいぐるみを受け取って、空いてる左手でぎゅっとぬいぐるみを抱き締めた。お菓子の入った袋を運転手さんに預けて、車に乗り込む。私の家に戻る事を告げると、運転手さんは車を走らせた。
「楽しかったね、悟!」
「…まあ、動物園も悪くなかった。」
「あはは、それは良かった!帰ったら桃鉄ね!」
「ああ。」
私を見て小さく笑った悟に、今度こそ心臓が過労死するかと思った。口から飛び出る勢いでうるさくなった心臓を誤魔化すように、私はパンダのぬいぐるみを力いっぱい抱き締めてみたけど、あんまり意味はなかったらしい。