眠れる美女とは私


私の家に着くと、運転手さんは悟が帰らせた。明日の夕方、悟を迎えに来るらしい。悟と手を繋いだまま玄関の鍵を開ける。

「ただいまー!」
「お邪魔します。」
「あらぁ、お帰りなさい二人とも。」
「お母さんこれお土産!あ!運転手さんの分買うの忘れてたわ。」
「アイツはいい。」
「あら、上野動物園に行ったの?」
「パンダ見てきた。可愛かったよー!悟がぬいぐるみ買ってくれた!」
「あらあら、ありがとうね悟くん。」
「いえ…俺も楽しかったんで。」
「さ、二人とも手を洗ってきなさい。おやつあるわよ。」
「やった!悟、こっち!」

サンダルを脱いで洗面所へ向かう。私は浴室で足を洗って、洗面所で手洗いうがいもしっかりした。リビングに向かうと、お母さんが準備してくれたおやつを二人で食べる。今日のおやつはお母さんお手製濃厚卵プリンだ。最高にうまし。

「悟くんは好き嫌いはあるかしら?」
「なんでも食べれます。」
「夕飯のリクエストはある?」
「理玖の好きなので。」
「うふふ、優しいのね?」
「じゃあ一般家庭の食卓経験と言うことで、私はお鍋をリクエストする!生姜たっぷり鶏つくねのお鍋!」
「はぁい。じゃあお買い物行ってくるから、留守番お願いね。」
「うん、桃鉄してるね!」
「テレビから離れてやるのよ?」
「子供じゃないんだからわかってるよ。」
「あら、理玖ったら何歳のつもりなの?」

うふふ、と笑いながらお母さんが買い物に向かう支度を始めたので、私はスーファミをテレビにセッティングする。今度桃鉄以外にもゲーム買ってもーらお。悟と一緒にゲーム買いに行くのもいいな。どうせなら一緒にやりたいゲーム選びたいしな、うん、そうしよ。

「よし、セッティング完了!」

スイッチを入れて桃鉄を起動させる。軽快な音楽が流れて私は悟にもう一方のコントローラーを渡した。桃鉄はかなり盛り上がった。二人で容赦ないボンビーの擦り付け合いをして、勝ったのは悟だった。クソ、流石最強。桃鉄でも最強ってか…!お母さんが買い物から帰って来ると、ご飯ができるまでに宿題を終わらせなさい、と言われた。

「悟、宿題持って来た?」
「一応。」
「じゃ、私の部屋で一緒にやろっか。お母さん、ご飯できたら呼んでねー!」
「はいはい、頑張ってね。悟くんの荷物は理玖の部屋に置いてあるからね。」
「ありがとう!よし、悟行こう!」
「ありがとうございます。」

パンダのぬいぐるみも一緒に抱えて私の部屋へ。部屋に入るとベッドの枕元にパンダを置いた。悟が私の部屋を見渡している。お、92%になった。

「さてと、どれからやる?ぶっちゃけ日記とか怠くない?いつも何書いてた?」
「別に、天気書いて終わり。」
「わーお、それ日記?」
「書くことないだろ。」
「じゃあ今日はいっぱい書けるね!」
「…そうだな。」

そう言って日記帳を取り出す。まだ3ページしか使っていないそれに、今日の日付と天気を書いた。悟と動物園に行った事、パンダを見たこと、安定のおいしさミートスパ、そしてソフトクリーム、仕上げにパンダのぬいぐるみとキーホルダーの事を書くと、リアルパンダの絵も描いた。悟の日記をチラリと盗み見る。さらさらと綺麗な文字を書く悟。私の視線に気付いたらしい。凄い勢いで日記帳を閉じられた。

「なんで隠すのよー。」
「勝手に見んな!」
「じゃあ見せて?私も見せるから。はい。」
「…。」

私が自分の日記帳を渡すと、悟も渋々見せてくれた。なになに…?今日は理玖と上野動物園に行った。おお、私の名前ちゃんと漢字で書けるんだ、凄いじゃん。つか、動物園って字習うのも小1以上だよね?やっぱ最強はちげえや!んーっと、パンダを見る理玖がはしゃいでいた。白と黒の熊のどこがいいのか分かんねえけど、ってこらこら、文章はちゃんと書かんか。…理玖が楽しそうで俺も嬉しか…った…。ン゛…!やべ、鼻血出るかと思った。何だこの可愛いショタ五条!ああ駄目だ、これ気を抜くと鼻血出るわ…。落ち着け、深呼吸…。ひっひっふー…。…あれ、これ違くね?

「読んだら返せよ。」
「あ、ごめんまだ読んでる。」

待て待て悟、焦るなよっ。えーっと?帰り際にパンダのぬいぐるみを買ってやった。理玖が喜んでくれたから買ってよかった。理玖の家で桃鉄をした。終わり。ちらっと昨日の日記を見てみる。天気、晴れ。理玖と一緒に学校行った。他の奴らと違って一緒にいて落ち着く。その前は?天気、曇り。理玖がぶっ倒れて焦った。給食食わずに起きるのを待った。起きて安心した。…天気、曇り。転校生が俺の友達になりたいと言ってきた。変な奴だと思った。俺のランドセル係にしてやった。…ランドセル係とか言われたなそう言えば。…天気、晴れ。天気、晴れ。天気、曇り。わ、マジで私が来る前は天気しか書いてないぞ。しかも、私が転校してきてからは全部私の話じゃん!なにそれなにそれ!よっぽど私と友達になれたことが嬉しかったんか!?はぁ!?可愛すぎじゃね!?悟に日記帳を返すと、93%になった。おうおう、自分の事が日記に書かれてて嬉しかったんか?ほんと可愛いな!?食べちまうぞ!?

「音読とかだるー。やったことにしちゃう?」
「いつもやってねえし、別にいいんじゃね。」
「マジ?私お母さん厳しいから、ちゃんと音読してるわ。」
「俺が聞いててやるよ。」
「やだよ、ハズいわ。じゃあ音読はパス!あとなんだっけ、なんかあった?」
「算数のプリント。」
「あー、あったなそんなの。ちゃっちゃと終わらせちゃおー!」

ランドセルからプリントを取り出してさらさらと解いていけば、5分も経たずに終わってしまった。いやー、強くてニューゲームって最高だわ。宿題もすぐ終わるし!悟も解き終わったらしい。二人ともプリントをしまうと、することもなくなってしまった。

「なんか見たいのあったら勝手に見ていいよ。」
「…別に。」
「漫画とか持ってる?」
「いや。」
「読みたいの貸すよ?」
「…じゃあ、これ。」

そう言って悟は某名探偵漫画を手に取った。私はそれを横目に某汎用人型決戦兵器漫画を手に取った。お母さんが呼びに来るまで、二人で黙々と漫画を読み続けていた。いいね、黙って別のことしてても落ち着く友達って。

「いただきます!」
「いただきます。」
「熱いから気を付けて食べてね。」

今日はお父さんが出張任務だから、お鍋ができたらすぐに夕飯だった。悟の取り皿にお鍋をよそってあげると、悟がキラキラと目を輝かせていた。もしかして初鍋か?え、もしかして五条家って家族で鍋やらんのか?マジ?

「お母さんの料理めちゃウマだから!」
「…美味い…。」
「うふふ、よかった。沢山あるから焦らず食べてね?」
「はい。」

3人で鍋をつついてお腹も膨れると、途端に眠気が訪れる。あー、流石に体力は小1だからすんごい眠い。なんとかならんのか…。セレクトしてみるか?セレクト。

【あなたは睡魔に襲われています。選択してください。選択すると呪力を10消費します。(残り呪力:43)】
【1.寝る 2.眠気を覚ます 3.なにもしない】

いやいや、まだ寝ないよ。2!

【2.眠気を覚ます を選択しました。呪力を10消費しました。(残り呪力:33)】

お…?重たかった瞼が嘘みたいに持ち上がった!すっげぇ、なにこれ万能じゃん!?悟は私が術式を使った事が分かったらしい。私を見て小さく首を傾げた悟に、なんでもないよ、と笑いかけた。お母さんがお風呂の準備をしてくれたので、お客さんの悟を一番風呂に招待して、私もその後にお風呂に入った。髪を乾かして歯も磨いて寝る準備が終わると、お母さんにおやすみを言って二人で私の部屋に。そう言えば悟何処で寝るんだろ。もしかして私の布団で寝る感じ?マジ?そんなん眠れるわけなくない!?

「…どうする?一緒に寝る?」
「…寝る。」
「マジか。まあ、…いいけど。」

先に悟をベッドに上げて布団に入ってもらうと、私は部屋の電気を消した。悟の隣に寝転がって布団を被る。

「悟、今日楽しかったね。また一緒にデートしよ。」
「…絶対だからな。」
「うん、約束ね。おやすみ。」
「…おやすみ、理玖。」

ふと、悟の方に体を向ける。暗がりで何となく悟も私の方を向いているのが分かった。布団に入ったことで思い出した睡魔に瞼を閉じると、唇に触れた柔らかい感触。…あれ、今キスした?マジ?マセてるな!?そう思いながらも意識は睡魔に、



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